不動産投資の利回りって? 計算方法や利回り相場について徹底解説!
不動産投資で利益を得るために重要なことは、「利回り」について具体的に理解することです。利回りを算出することで、どれくらいのリターンが得られるかを把握できるため、適切な物件選びの指標になります。
この記事では、不動産投資における利回りの種類や計算方法、利回りを基準とした物件選びのポイントについて詳しく解説します。
不動産投資における利回りとは
投資における利回りとは「投資に対して得られる収益の割合」のことです。不動産投資では、投資物件に対して1年間で得られる家賃収入の割合を指します。
投資資金を100%と考えて、仮に1年間で得られる利回りが10%であれば、10年で投資資金を回収できるという計算になります。
また、利回りには「表面利回り」「実質利回り」「想定利回り」「現行利回り」といった複数の考え方の種類があり、それぞれ計算方法が異なります。なかでも「実質利回り」は重要となるため、それぞれの意味や違いについて理解しておくことが重要です。
利回りの種類と計算方法
不動産投資における利回りの考え方の種類と、それぞれの計算方法について解説します。
表面利回り
表面利回りとは、購入時の税金や登記費用、年間の維持管理費といった不動産運用に関わる諸経費を含めない利回りの考え方で、「グロス利回り」とも呼ばれます。
▼計算式
- (%)
表面利回りは、大まかな利回りを把握したい場合に役立ちます。
ただし、表面利回りが高いからという理由で、投資物件を選ぶことは懸命な判断とはいえません。表面利回りには諸経費が含まれないため、実際に得られる収益よりも高く算出されることがあります。そこで諸経費を入れて算出する「実質利回り」を計算しましょう。
実質利回り
実質利回りとは、不動産購入にかかる諸経費や年間の維持管理費などの必要経費を含めて算出する利回りです。経費も含めて算出するため、表面利回りと比べて精度が高くなります。
▼計算式
物件資料のなかには、この実質利回りが記載されているケースもありますが、必要経費としてかかる費用は、物件や入居率の状況によって異なります。物件情報に実質利回りが記載されていたとしても、自身で計算したうえで妥当な収益性を判断することが大切です。
実質利回りを計算するときの必要経費には、以下が挙げられます。
物件の購入時
・不動産仲介料
・司法書士や金融機関への融資手数料
・火災や地震保険料
・固定資産税や不動産所得税 など
年間経費
・リフォーム費
・管理費や修繕費
・水道光熱費
・出張費
・固定資産税や都市計画税 など
想定利回り
想定利回りとは、物件を所有した際に「全室が満室」であることを想定して算出する利回りです。必要経費や空室リスクは考慮されていないほか、家賃収入も周辺相場と同じ、もしくは高めに設定して計算されていることがあります。
▼計算式
ほとんどの物件情報には想定利回りが記載されていますが、満室時を想定しているため実際の利回りと大きく異なる可能性があります。必要経費や空室リスクも考えておかなければいけません。空室リスクは物件の選び方によっては出来る限り抑えられる可能性もあります。詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。
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現行利回り
現行利回りとは、物件の入居者がいる状態で算出する利回りです。空室分の家賃収入は含まないほか、現時点における賃料を基準として計算するため、想定利回りよりも精度が高くなります。
▼計算式
現行利回りでは、物件の入居者状況が反映されるため、現状の利回りを把握したい場合に役立ちます。ただし、必要経費は考慮されていないため、詳細な利回りを計算するには実質利回りの算出が不可欠です。
利回りの相場
ここからは、ワンルームタイプ、ファミリータイプにおける利回りの相場を比較します。
期待利回り相場(2021年4月現在)
引用:日本不動産研究所「第44回 不動産投資家調査」
福岡や札幌などは東京と比較すると利回りが高くなる傾向にあるように見えますが、東京の物件で損をすることを表しているわけではありません。なぜなら、東京のような人口が多い場所は賃貸物件の需要が高く、入居が安定しやすいためです。
2019年時点の都道府県別人口は、北海道が約525万人に対して、東京都は1,392万人と3倍近くの差があります。そのため、都心部は賃貸物件の需要も高くなり、空室リスクが低いと考えられます。
地方は利回りこそ高い傾向にありますが、東京よりも人口が少ないため、賃貸物件の需要が低くなることがほとんどです。結果的に、東京の物件よりも実質利回り・現行利回りが低くなる可能性も十分考えられるでしょう。
また、ワンルームタイプよりもファミリータイプの方が利回りが高くなる傾向にあります。なぜなら、ファミリータイプの方が部屋が広くなる分、ワンルームタイプよりも賃料が高く設定されやすいからです。ただし、ファミリータイプの利回りが高いといっても、空室が続いた場合には収益が大幅に低下する可能性もあります。空室時における収益性の変動についても考慮しつつ、安定して入居が継続していることが期待できる物件を選ぶことが大切です。
参照:総務省統計局「統計でみる都道府県のすがた」
利回りで選ぶ物件のポイント
利回りを重視して物件を選ぶときのポイントを解説します。
高利回り物件
高利回りの物件は、エリアの需要や築年数、修繕の必要性などのリスクをしっかりと確認しておくことが重要です。利回りが高い場合でも、入居者が集まりにくい立地や、築年数が古く大規模な修繕が必要になる場合には、想定していた収益が得られない可能性があります。
不動産投資では、利回りの高さや購入価格の安さだけで安易に購入せずに、類似物件の相場や実質利回りのバランスを見て検討することが大切です。
低利回り物件
収益性が低いとされる低利回り物件は、物件を売却して得られる収益を最終目標とする場合に有効です。入居需要の高いエリアであれば、買主が見つかりやすく、物件購入時よりも高値で売却できる可能性があります。
また、外壁の塗装や構造面のメンテナンスが細部まで行き渡っている物件は、修繕費や突発的な物件トラブルによる出費を抑えられることもあります。
新築物件と中古物件
新築物件と中古物件では、利回りが大きく異なります。
一般的に、築年数の経過している物件ほど物件購入費用を抑えやすいため、比較的利回りが高くなる傾向にあります。
ただし、必ずしも中古物件が有利というわけではありません。築年数が経った中古物件の場合、購入後に大規模な修繕が必要になるケースも多く、新築物件と比べて経年劣化が多い分、年間の維持費用が高くなる可能性があります。また、経年劣化や耐震性による不安から、空室リスクを抱えやすいといった問題もあります。
一方、新築物件では、購入後に大規模な修繕が必要になることは少なく、当面の間は経年劣化もさほど気にする必要もないため、年間の維持費用を抑えられやすいです。また、新築という理由で入居需要も高まることが予想されるため、空室リスクを低減できる可能性があります。
投資物件を選ぶ際は、利回りの高さにとらわれずに、必要経費や空室リスクを加えて利回りのバランスを見ること、入居需要や将来性を考慮することが重要です。
利回りを維持するためには
不動産投資で利回りを維持するためのポイントを解説します。
空室の少ない物件を選択する
物件購入の時点で、空室の少ない物件を選ぶことがポイントです。空室の多い物件は、年間の家賃収入が下がってしまうだけでなく、入居者の募集や入れ替えがあるたびに原状回復や修繕が必要になり、諸経費がかさんでしまう可能性があります。高い利回りを維持するためには、実質利回りに加えて、空室を考慮した現行利回りについて確認することが重要です。
人気の高い物件を選ぶ
人気のエリアや流行の間取り、充実した設備など、入居者に人気のある物件を選ぶこともポイントです。安定して入居が継続していることが期待できる物件を選ぶことで、空室リスクを抑えられやすくなり収益性を高められる可能性があります。また、入居者に長く住んでもらえれば、入居者の募集や原状回復などにかかる諸費用も抑えられやすくなります。
築年数が経っている、間取りや設備が古いままになっているという物件の場合は、物件価値を高める工夫も必要です。必要に応じてリフォームやリノベーションを実施して、魅力的な部屋づくりを図れば、入居需要の向上により空室リスクを抑えられる可能性につながります。
築年数の浅い物件を選ぶ
築年数の経っている中古物件では、購入後に修繕費や年間の維持費といった諸経費が多くかかってしまうケースがあります。諸経費の増加は利回りの減少につながるため、なるべく築年数の浅い物件を選ぶことがポイントです。
ただし、築年数が浅いといっても、中古物件であればどこかを修繕する可能性はゼロではありません。中古物件よりも新築物件を選ぶと、諸経費を少なく抑えられやすくなります。
諸費用の支出を減らす
火災保険や物件の管理会社を見直すことで、諸経費を削減できる場合もあります。定期的に火災保険の保証範囲やプランを見直すことをおすすめします。
また、物件の管理会社との契約内容を見直すことも重要です。管理の範囲や清掃回数などを見直すことにより、委託管理費を節約できる場合があります。
まとめ
不動産投資で安定した収益を得るためには、利回りを正しく理解することが重要です。利回りを算出する際は、必要経費も含めた実質利回り、空室状況を反映した現行利回りについても把握しておく必要があります。安易に利回りの高い物件を選んでしまうことを防げるほか、将来の収益性を考慮した計画的な投資につながります。
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