- 不動産投資
GK-TKスキームとは?法人投資家が知っておきたい匿名組合出資
不動産と言えば一般的に流動性が低いと言われていますが、不動産を小口化することで多様な不動産投資商品を作り、流動性を高め、投資機会を増やすといったさまざまな手法がとられるようになっています。
今回は、そういったさまざまな手法の中から、GT-TKスキームと呼ばれる匿名組合出資契約を用いた方法の解説と、そのスキームの枠組みを変える不動産特定共同事業法の改正の背景について解説します。
不動産の流動化
投資の世界における流動性とは、売りやすさ、換金のしやすさを指します。不動産の場合、売りたいと思っても、買い手が見つからなければ売ることはできませんし、手続きにも時間がかかるため、不動産投資は流動性が低いと言われます。
流動性が低いことは投資においてはリスクの一つでもありました。また、不動産の取得には高額な資金が必要であることが不動産投資のハードルにもなるわけですが、そういったリスクを回避するための手法が、不動産の小口化です。
それにより、少額からでも不動産への投資が可能になり、証券化された商品であれば流動性も確保することができるようになっているのです。
GK-TKスキームの仕組み
不動産の小口化の方法の一つがGK-TKスキームと言われるものです。GK-TKスキームでは、不動産資産の利益と投資家を媒介する機能をもつビークルとして合同会社を用います。
その合同会社と投資家が匿名組合契約を結ぶことで、小口化された不動産の売買が可能になります。
ここでは、あくまでも事業を行うのは合同会社であり、投資家は資金を提供するという立場で、組合としてなにがしかの事業を行うわけではありません。
合同会社のような事業者に経営上の責任があり、投資家はそこで生じる利益を受け取るという形態を匿名組合契約という言い方をします。
不動産特定共同事業法の改正
こうした不動産を小口化する仕組みを規制している法律が不動産特定共同事業法になります。
従来、GT-TKスキームでは、実物不動産を小口化して売買や利益の配分を行うには、不動産特定共同事業の許可を受ける必要がありました。
しかし、この不動産特定共同事業の許可を受けるためには、宅地建物取引業の免許を持っていなければなりません。
不動産の小口化を行うためのビークルは、不動産を小口化するためだけに作られるものですから、宅地建物取引業の免許を取ることはできません。そのため、GT-TKスキームでは実物不動産を信託受益権とすることで小口化を実現していました。
平成25年に、不動産特定共同事業法が改正されて「特例事業」という制度ができました。これによって、不動産に関わる業務や、出資の勧誘などを特定の事業者に委託することや、相手方を銀行などの法人投資家(プロ)に限定するなどの一定の要件を満たすことで、不動産特定共同事業の許可は不要となります。つまり、この年の改正により、要件を満たしていれば実物不動産も小口化して扱えるようになったのです。
そして平成29年にふたたび不動産特定共同事業法が改正されます。改正のポイントは、特例事業の範囲が拡大され、より多くの投資家が事業に参加できるようになること、小規模不動産特定共同事業が創設されること、クラウドファンディングに関する制度が整備されること、そして不動産特定共同事業に関するさまざまな規制が見直されることなどがあります。
地方の空き家・空き店舗の活用
こうした不動産特定共同事業法の改正の背景には、より多くの投資家が小口化された不動産商品への投資に参入できるようにし、市場を盛り上げようとする意図があると言えますが、それとともに、日本社会で問題が顕在化しつつある空き家の問題や、地方における空き店舗の増加、地域の衰退に対する対策の一環ともとることができます。
少子高齢化で人口減少が続く日本では、シャッター通りと言われるような地方の商店街の衰退と空き店舗の増加や、住む人がいなくなった空き家が放置されることの問題が深刻化しており、各自治体だけでなく、国を挙げて取り組む課題となっています。
不動産特定共同事業法の改正で、地方の不動産業者が地方の不動産のプロジェクトに対して資金調達をしやすくなりますが、実際に、平成29年の法改正の目標として、不動産会社の新たな参入を800社、空き家・空き店舗への投資として500億円が掲げられています。
まとめ
不動産投資というと、まず不動産を取得するための大きな資金が必要とされるのが普通ですが、少額からでも不動産への投資が可能になる方法があるということがお分かりいただけたでしょうか。
空き家や空き店舗が今後ますます大きな問題となっていく昨今の日本においては、小口化された不動産への投資は、地方の活性化のためにもますます注目を集める方法と言えるでしょう。
個人であっても、小口から始める不動産投資の方法は存在します。まずは不動産会社へ相談してみてください。