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初心者にアパート経営は難しい!?利回りだけに騙されないアパート経営のリスクを知ろう

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初めて不動産投資をするにあたって、マンションとアパート、どちらにするか迷う方もいるでしょう。
マンションに比べて、アパートの方が利回りもよく、初期投資も少額から始められそう!と思われがちです。
ですが、実はアパート経営には知られざるたくさんのリスクがあります。
そこで今回は、不動産投資でアパートを選択する場合のリスクについて考えてみましょう。

アパートの不動産投資の問題点「区分所有ができない」

マンション経営の場合、「一棟所有」と「区分所有」の2種類があります。

一棟所有は、その名の通りマンション一棟をまるごと購入し、人に貸し出して家賃収入を得ていく方法です。
例えば、120戸あるマンションを購入し、全部屋に入居者がついたとすると、家賃×120部屋分の金額が毎月オーナーに支払われるため、大きな利益を得ることができます。
また、一棟所有のメリットは、もし所有しているマンション内で空室ができたとしても、他の部屋に入居者がついていれば、大きな損失にはならずにマンション経営を行うことができます。
ただし、マンション一棟を購入するためには、多額の資金が必要となることや、不動産投資用ローンを組む際にも、融資を受けることが難しく、自身に相当な資金力がない限り購入することさえも難しくなります。また購入後の建物管理なども大変なため、仕事と両立するマンション経営ではなく、本業として運用する必要があります。

一棟所有に対し区分所有は、マンションの中の1部屋だけを購入し、人に貸し出して家賃収入を得る方法です。区分所有の場合、購入した部屋の数だけの家賃収入が入ってくる仕組みになり、購入時の金額は一棟所有と比べると非常に安価となります。
また昨今の金融緩和の施策により、金利が下がり、不動産投資用ローンが組みやすくなっています。頭金も少額の準備で済むため、初めて不動産投資を行う方にとっては非常に取り掛かりやすい投資となります。

では、アパート経営について見てみましょう。
アパートに対する不動産投資は「区分投資」は存在せず「まるごと一棟への投資」となります。とはいえマンションの一棟投資に比べるなら、投資金額は少なくて済みますが、やはり区分所有ができるマンション経営とは違い最初に大きなお金が必要になるのは変わりありません。
それでもマンション経営よりもアパート経営をやってみたい!と思わせてしまうポイントとして、満室時の想定利回りの高さがあります。
ではここでアパート経営を行った際のシミュレーションを行ってみます。

上記物件概要のアパートを購入し運用した場合、収支のイメージはどうなるのでしょうか。

部屋数が10戸(全て1Kタイプ)、家賃が6万円/戸の場合、月々の家賃収入は6万円×10戸の60万円となります。ここから経費とアパートローン返済を引くと手元に毎月12万円が残ることになります。年間にすると12万円×12か月で144万円の収入が得られることになるため、投資としては魅力的な数字と言えるでしょう。ですが、上記図にあるように空室が1戸なら手取り6万円、2戸で手取り0円となります。そして空室が3戸以上になるとオーナーの負担が発生し赤字経営のアパートとなります。
さらに、購入当初は6万円の家賃で入居者づけができていたとしても、物件は年々古くなり、周囲には新しい新築マンションが立ち並んだりなど購入時と物件周辺の様子が異なるにつれ、家賃も下げざるを得なくなる可能性があります。

ではもし、仮に家賃が1万円下がったときのシミュレーションをしてみましょう。

家賃が1万円下がっただけで、10戸中1戸でも空室が出ただけで、赤字経営となります。
このようにアパート経営は常に空室リスクが隣り合わせであり、間違いなく100%の入居率を維持できる保証もなければ、家賃設定を下げずに済む保証もないため、アパート一棟を所有するリスクは大きいと言えます。

 

購入費用・固定資産税や修繕等のランニングコストが高い

前述したようにアパート一棟を購入するとなると、もちろんのことながら購入費用は決して安いものではありません。東京都心部のアパートであれば1億以上、郊外や地方であったとしても4千万円ほどはかかります。
所有しているアパートの全戸分の修繕費や維持管理費をオーナー1人で背負うことになり、戸数が多い分、予想外の出費も起こりやすくなります。時には一度で数百万円の出費になることもあるためランニングコストが高くなります。
そしてアパートの多くは木造のために老朽化が早く、10年ほど経つと新築のときの面影がなくなります。引っ越しを考えているような人は、そんな古いアパートにはまず住みたがりません。借り手に敬遠されないように、頻繁にリフォームする必要が生じ、その費用が重荷になってきます。
また10年、20年と時間の経過とともに、屋根材や壁材などの塗装や張り替えが必要になります。メンテナンスコストは1回に数十万単位、多い場合は数百万円単位の負担です。しかも、部屋ごとのエアコンや給湯器のメンテナンスコストもかかってきます。あらかじめ予想される費用を、計画的に積み立てておかなければなりません。積み立てをやめてしまえば老朽化が進み、建物の寿命を縮めることにつながります。
とはいえ、2部屋・3部屋と空室が増えるようになると積み立てどころではなく、アパートローンの返済も重なるとかなりの負担になります。建て替えをしたくても、全員が立ち退きに同意してくれれば問題ありませんが、なかには高齢などを理由に、次の転居先がなかなか見つけられない人もいます。
例えば区分所有のマンションの場合、管理組合が主体となり修繕費を毎月積み立てます。また所有している持分の修繕費しかかからないため、かかる費用も予想が立ちやすくなります。さらに、区分所有の新築マンションであれば、よほどのことがない限り、マンション全体・住戸内設備などの修繕はしばらく必要ないことや、様々な法律によりオーナーが守られます。ランニングコストの面では、区分所有のマンション経営が優位です。

 

地方や郊外のアパート経営には「人口減少のリスク」が

アパート経営は、一棟かつ都心部の立地で行うとなると、非常に高い金額が必要となるため、多くの方が都心部から離れたエリアや駅から離れたエリアで始めることとなります。
ご存知のように、少子高齢化が進む日本の人口は、今後確実に減少すると言われています。そして、人口の減少は地方から始まり、その流れはますます加速していくものと見られています
その一方、東京や大阪、名古屋などの大都市圏には、今後も人口の流入が続くと予測されています。特に、東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の増加は続く様子です。
国立社会保障・人口問題研究所が発表している『日本の世帯数の将来推計』から一般世帯数の推移を見てみると、東京圏は2010年では15,562千世帯だったのが、2025年には16,482千世帯まで増加するというデータが出ています。
その流れがはっきり見て取れるのが、大学の都心回帰ではないでしょうか。学生数の増加にともなって郊外にキャンパスを移した大学が、今ぞくぞくと都心に戻ってきています。
また最近では、加齢で身体の自由がきかなくなった高齢者の皆さんが、生活に便利な都心のマンションに移るケースも増えつつあります。それとは逆に地方や郊外では、人口減少に反して賃貸住宅が供給過剰になり、空室が増えていきます。すると、空室が増えたアパートに入居者を集めるため、家賃の値下げ競争が始まります。
このように、地方や郊外での人口減少はアパート経営の大きなリスクになりつつあります。上記のような現状から、人が集まる都心部で不動産投資を行いたい方は、区分所有のマンション経営を始める人が増えています。
区分マンションの場合、物件の価格がマンション一棟・アパート一棟に比べ比較的安価です。また銀行からの融資も受けやすいため、都心部で駅から近く、新築マンションであったとしても購入しやすくなります。また都心部で駅から近い物件は、単身者にはもっとも人気があり、ニーズも多いため空室になりにくい傾向があります。人が住み続けている需要のあるエリアでの物件であれば、家賃を途中で下げる必要もないので利回りをキープすることもできます。さらに、将来の個人年金代わりに家賃収入を得続けることもできれば、不動産投資の出口戦略として売却を考えたとき、都心部等の需要のあるエリアであれば、高い金額で売却できる可能性もあります。地方や郊外のアパートが「安いから」「利回りが高い」という理由で購入するのではなく、人が住み続け投資として成立するのか、出口戦略を考慮したときに購入時よりも損をすることなく売却できるかなどを考えたうえで不動産投資を始める必要があります。

 

アパートの不動産投資では、住民間のトラブルや自然災害も考慮

アパートという共同住宅の特性上、ある程度、住民間のトラブルや事故について考慮する必要があります。
マンションでも同様の問題があるとはいえ、その影響や被害は雲泥の差です。軽度なものだと、マンションであれば気にならない程度の物音が、木造アパートだと響き渡ることがあります。結果、住民間でのトラブルになることもめずらしくはありません。もしそれが原因で空室が出る、あるいは最悪の場合に事件になるなどすれば、収益に大きな揺らぎが生じてきます。
また、自然災害における被害対策は万全にする必要があります。自然災害大国である日本において、地震や台風による被害は全国各地で発生する可能性があります。
木造のアパートは、大雨による浸水、雨漏りがあれば補修作業が必要になり、付近で地震があれば倒壊し、全損する危険性もゼロではありません。たった1人が居座るだけで、全員立ち退くのに何年もかかっているケースもあります。そうなると、ある程度の立ち退き料を支払う可能性も出てきます。

まとめ

【この記事のポイント】

  • アパートに対する不動産投資は「まるごと一棟への投資」になる
  • 購入費用・固定資産税や修繕等のランニングコストが高くなる
  • 地方や郊外のアパート経営では、「人口減少のリスク」がある
  • アパートに対する不動産投資では、住民間のトラブルや事故について考慮する必要がある
  • アパートに対する不動産投資には、リフォームやメンテナンスコストが発生する場合も

このように、区分所有物件が内包するリスクをはじめ、地方や郊外での集客や賃料の下落、メンテナンス費用の発生などを考えると、アパートに対する不動産投資はさまざまなリスクが潜んでいると言えます。一棟所有のアパート経営は、オーナー自身で何事も決定できるため、修繕計画やその他運用に関することも自分で思ったようにできるのが良い面とされていますが、その裏には多額のお金が飛んでしまうようなリスクも兼ね備えています。あなたの不動産投資の夢を叶えるため、「アパートかマンションか」「地方か都心部か」「一棟所有か区分所有か」を、じっくり考え直してみてはいかがでしょうか。

 

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