【第6回】不動産投資の初心者必読  「マンション投資」のリスクとリターンについて

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マンション投資には多くのメリットがありますが、一方でリスクも存在します。
マンション投資のリスクについて理解し、リスクを減らしていく事がマンション経営を成功させるポイントと言えます。

リスクを恐れて投資をしなかったら…

世の中には不動産投資の他に株式投資、外債投資、さらに近年では、仮想通貨投資など多くの種類の投資が存在します。

投資はただすればいいというものではなく、常に「リターンとリスク」が背中合わせである事を、十分に認識する事が大切です。一定のリターンを得るためには、一定のリスクも許容する事になります。私の学生時代の同級生の中には、リスクを恐れて投資に拒否反応を示す方も多々いますが、よくよく考えてみると、「投資をしない」という事が投資のリスク回避になっているかというと、そういう単純な話ではありません。

例えば、まったく投資をしないで、ただ毎月の給料から5万円天引き預金で貯金をしていくとしましょう。毎月5万円貯金するという事は、年間で60万円、10年で600万円貯まります。利息が年に0.001%付いたとしても、600万円につき年に60円にしかなりませんのでATMの手数料の方がはるかに高いです。

この10年間の間に、仮に物価が5%上昇したとすると、600万円の価値は「600万円×95%=570万円」と預金の実質的価値は目減りする訳です。
さらに今後は預貯金口座に対する管理手数料も検討されています。つまり、投資を何もしない場合であっても、所有している現金の実質的価値が目減りするという「リスク」が伴う訳です。

このように、必ずしも預貯金だけではリスク回避にはならない可能性も帯びているという事です。また、私達が支払っている社会保険料の一部は、GPIF(※)を通じて間接的に株式や不動産に投資されているという事も認識しておきましょう。

※GPIFとは…

  • 年金積立金管理運用独立行政法人のこと。年金保険料から集められた公的年期積立金を管理・運用している。

投資をする際には、そのリスクについてよく理解し、リスクを回避(リスクヘッジ)する事がとても大切になってきます。

今回は不動産投資、中でもマンション投資についてのリスクと対応方法について考察してみたいと思います。

空室リスクとは

マンション投資におけるリスクの一つに空室リスクがあります。ワンルームマンション投資には、不定期ですが入居者の入退去がありますので、次の入居者が決まるまでは「空室」となり家賃収入が入らない期間が発生します。

空室の期間や家賃収入にもよりますが、所有する物件が空室になると「家計」に直接響いてくる場合があります。マンション投資をする方の多くは、自己資金を少なくし、物件購入金額のほぼ全てを、ローンを組んで始める方が多くなっています。ほとんどの不動産会社では、家賃保証などのシステムが用意されているので、ある程度は空室リスクを回避できますが、家賃保証も未来永劫に保証されている訳ではありません。基本的には、2年ごとに賃料査定の見直しがあります。

つまり家賃保証があればどんな物件を買っても安心、という訳ではありません。

不動産投資は、質の部分に目配りする事が大切です。

では、空室リスクの低いマンションの条件とは何でしょうか。

  • (1)都心のビッグターミナルにアクセスしやすく、駅から徒歩10分圏内などの立地
  • (2)学生や社会人などの個人だけではなく、いわゆる「法人契約」の可能性があるエリア。つまり法人が借主で、家賃の一定額を経費に算入できる借主が対象である事
  • (3)男性だけではなく、女性からも支持される立地・環境・建物のデザイン・セキュリティシステム等が揃っている物件

他にも、地域全体から見た「最寄り駅の乗降客数の増減トレンド」、「地域全体の人口動態」なども一つの指標となります。

駅からの時間は劣化しない

現在の日本において、空き家住宅が840万戸を上回る状況であると言われています。
このような時代の中で、単なる表面的な利回りだけを追求した投資は、「ゼロ or 100」の究極の投資に陥るリスクをはらんでいます。

例えば、いくら利回りが10%のマンションを購入しても、入居者が一旦退去し、なかなか次の入居者が決まらない場合は、ゼロどころか管理費などのコストはかかり続けるため、収支がマイナスに陥る恐れもがあるという事です。

では、なぜ東京圏のワンルームマンションの入居率は高いのでしょうか。
2020年の全国における「貸家住宅」の着工件数は約34万戸ありましたが、そのうち東京首都圏のワンルームマンションは、わずか8,000戸となっています。

これは、ワンルームマンションの供給立地が、駅近の商業地域などの極めて限定的なエリアで、しかも1棟当たりの規模も比較的小・中規模程度が多いからです。

建物や設備は、時間の経過によって少なからず劣化していきますが、駅から何分という時間は劣化しない所にその要因があります。
建物や設備の劣化は、大規模修繕工事やリフォームなどでカバーできますが、駅からの時間は変える事ができません。

資産価値の下落リスク

物件の価格が、購入時よりも下がってしまうのが価格変動リスクです。

1990年代前半のいわゆるバブルの頃は、購入したワンルームマンションがすぐに値上がりし、短期間で売買益が出る事もありました。実際に私が過去に販売した、東京都新宿区の「ライオンズマンション新宿5丁目」は販売時20㎡で1,500万円程度だったものが、わずか数年後には6,000万円で売却された事例があります。

このような極端な時期、状況は長続きする事はなく、現在は収益還元法(※)に基づく価格決定が主流となっています。さらに現在は、老後の年金対策で購入し、長期保有を前提とした資産運用が主流であり、短期売買は極めて稀となります。

資産価値の変動リスクは、地域格差や経済的な変動によっても影響を受けるため、エリアの選定にこだわる事と経済変動に翻弄されずに長期保有する姿勢が大切と考えます。

(※)収益還元法で見る資産価値

  • マンションの資産価値(価格)はどのようなプロセスで決まるのでしょうか。周辺の物件の取引事例と比較する「取引事例法」や、現時点での建築費などの再調達原価を減価修正して算出する「原価法」など様々な方法がありますが、近年ではそのマンションの将来得られる収益から物件の資産価値を見る「収益還元法」が主流となっています。
  • 例えば家賃が10万円のマンションで期待利回りが4%の場合、10万円×12か月÷0.04=3000万円となります。このようにその不動産から得られる収益から物件の資産価値を見る方法です。

資産価値の下落と損をするという関係は?

ワンルームマンション投資においては、マンションを売却した際に資産価値が下落しても、すぐに損に直結する訳ではありません。
これは損益分岐点といって、購入した時の価格と比べていくらで売却したら損が出ないかという考え方で検証できます。

例えばAさんは現金3,000万円でワンルームマンションを購入しました。

5年後に10%(300万円)値下がりして2,700万円で売却したと仮定します。

Aさんのワンルームマンションは利回りが4%でしたので、3000万円×4%×5年で600万円の収益がありました。また、この間の経費・ランニングコストを仮に200万円とします。

結果的には300万円の売却損がありますが、その間に600万円の家賃収入があり、経費が200万でしたので、600万円(収益)-300万円(売却損)-200万円(経費)訳=100万円のプラスとなりますので、値下がりして売ったものの結果的には逆に利益が出ている訳です。

つまり、不動産投資は単純に価格が下がったからと言って、損が出る訳ではありません。

金利上昇リスク

不動産投資ローンを利用する事によって、少ない自己資金で始められるマンション投資ですが、ローン金利が上昇した場合のリスクを考えてみましょう。

マンション投資は、ローンの支払いを毎月の家賃収入で支払う事ができ、毎月の出費がない、もしくは多少の持ち出しでできるところにメリットがあります。
近年では政府の金融緩和政策の影響もあり、不動産投資ローンも非常に低金利で、マンション投資の資金計画も立てやすくなっています。

但し、現在の金融情勢から察すると、都市銀行が日銀に預ける預金もマイナス金利という水準ですから、これ以上マイナス金利が進行するよりも、金利が上昇すると考える方が自然ではないでしょうか。

最近では円安による輸入物価の上昇や、先々の物価変動の指標となる「企業物価」の上昇、さらに日銀の出口戦略など金利が若干上昇するシグナルが垣間見えています。

消費者物価がなかなか2%に到達しない現況から察すると、急激な金利上昇はないと考えられますが、金利上昇への備えとしての知識を付ける事も大切です。

金利が上昇した場合の影響と対処策は?

不動産投資の場合、金利上昇は直接マイナス要因となると言い切れません。

例えば、金利が上がるという事は、確定申告の際に用いられる損益通算の計算上、不動産投資ローンの利息の建物部分は損金算入できますので、金利上昇により経費分が増加し節税効果が増すという事です。比較的年収の高い方ほどその効果は増します。

とは言え将来、急激な金利上昇となればローン返済額も上昇します。金利上昇のリスクヘッジとして2つの方法が考えられます。

金利上昇のリスクヘッジ

  • (1)毎月1万円~2万円程度、将来の繰り上げ返済用に資金をプールしておき、金利上昇時に一定額ローンを減らす
  • (2)金利上昇時は「ローンの条件変更」も一つの選択肢として考える。

「ローンの条件変更」とは、例えば毎月の返済額を多少多くする代わりに、返済期間を短くするケースなどがあります。この場合は元金の返済が早くなり、結果として利息が減り、金利上昇リスクから回避できます。
昇給や昇格で、年収が上がった時などに選択するのも、一つの方法だと考えます。

このように、ローンの条件変更は金融機関によっても対応が異なりますので、不動産会社を通じて相談に乗ってもらいましょう。

金利上昇期には景気・物価も上昇

金利が上がるという事は、多くの場合「景気上昇期」つまりインフレの状態にあると考えられます。
こうした時期には、諸物価はもとより、不動産においては建築費なども上昇しますので、その後建設されるマンションの価格は上昇することが想定されます。すると新築マンションの価格上昇に連動して、中古ワンルームマンション価格相場も上昇し、すでにご自身が所有するマンションの資産価値の上昇や賃料アップも期待できます。さらに、物価上昇から給与の上昇も想定されます。

つまり、こうした状況から金利上昇に関するリスクも少なくなると考えられます。
金利上昇で負担が多くなってきたら、金融機関や不動産会社などに早めに相談する事も重要です。

このようにマンション投資においては、リスクとリターンがセットになっていますが、リスクについては様々な対策方法があります。
不動産投資は、物件だけを買っている訳ではありません。リスクに対するソリューション(問題解決)のノウハウを有する不動産会社から購入する事が大切と考えます。

著者紹介

野中 清志(のなか きよし)
株式会社オフィス野中 代表取締役 住宅コンサルタント
マンションデベロッパーを経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。
首都圏・関西および全国でマンション購入に関する講演多数。内容は居住用から資産運用向けセミナーなど、年間100本近く講演。

最近の主な著書・連載等

  「売れる」「貸せる」マンション購入法 週刊住宅新聞社
「ワンルームマンション投資法」週刊住宅新聞社
「お金」見直し応援隊 日経BPセーフティジャパン(Web) 他多数

テレビ出演等

  TOKYO MX TV他「ビジネス最前線 不動産による資産活用の今 」(2016年3月)
  BS12〔TwellV(トゥウェルビ)〕「マンション投資 成功へのセオリー」(2014年12月)
「海外投資家も注目する東京の不動産」(2013年11月)
  他ACT ON TV 等多数

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