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実例から読み解く!不動産投資における滞納リスクの原因と対策方法

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不動産投資において多いトラブル、それは「家賃の滞納」です。家賃収入が得られないことが問題であるのはもちろんですが、滞納者への対応が一番の難題です。

家賃の滞納リスクを減らすためにはどうすればよいか考えていきましょう。

はじめに不動産投資(マンション経営)の基本サイクルを知ろう

はじめに不動産投資の基本サイクルを理解しておきましょう。

不動産投資の基本サイクル

  • ①ローンを組んで投資用マンションを購入する
  • ②購入した投資用マンションを賃貸に出し、入居者付けをする
  • ③入居者から毎月決まった家賃収入を得る
  • ④入居者から支払われる家賃を使ってローンの返済を行っていく
  • ※現金一括で購入した場合や、ローン完済後は④はありません。

これが基本のサイクルです。

家賃収入が得られなくなるだけではない。家賃の滞納は想像以上の大問題

前述した不動産投資の基本サイクルからわかるように、入居者が家賃を滞納すると家賃収入が得られなくなり、毎月支払わなければいけないローンの返済をオーナー自身の財布から出さなくてはいけなくなります。
それだけではなく、会計上、入居者と賃貸借契約を交わしたときから売り上げが立つことになるため、もし入居者が家賃を滞納した場合は未収金として計上されることになります。
会計上の未収金は、商品またはサービスを提供しているが、それに対する対価の支払いを受けていないことを言います。そのため、売り上げそのものは立っていると捉えられるため、家賃をもらっていない場合でも帳簿上は利益となってしまいます。
利益を得ているということはもちろんその金額に対して税金が発生することになり、ローンの残債があるオーナーは、ローンの支払いと税金の支払いを全部オーナー自身で行うことになってしまい、非常にリスクとなります。

実例から読み解く!入居者が家賃を滞納するケースとは

なんとしてでも避けたい入居者の家賃滞納ですが、どんな場合に入居者が家賃を滞納するのか、その原因について実例を用いて考えてみましょう。

CASE1:何らかの事情により給与が得られなくなってしまった

昨今話題の新型コロナウィルスで仕事を失った人も多くいるというニュースは耳にしたことがあると思います。またこれだけではなく、会社からの急なリストラなどにより、本来得られるはずだった給与が得られなくなってしまったというケースです。

【給与が得られなくなってしまったケースの実例】

  • 会社員として働いていて、真面目な方でした。これまで金銭トラブルなどは一切なく、支払い関連の滞納などしたことはありません。
    ところが、職場がコロナウィルスの影響をまともに受けてしまい、会社が倒産し、仕事を失ってしまいました。ある程度の貯蓄はあったが、家賃・光熱費・携帯代などの支払い、その他生活費などが毎月貯金から出ていき、やがて貯金も尽きてしまいました。
    失業してから就職活動を絶やさず行っていたものの、なかなか次の就職先が決まらず、ついに家賃などを支払うことができず滞納してしまう結果に。

次の就職先を探すもすぐに見つけることができず、家賃の支払いに影響してしまう入居者もいます。また、そもそも派遣やアルバイトなどの仕事が比較的不安定な人も急に給与所得が途絶えてしまう可能性が高く、家賃を滞納するケースがあります。

CASE2:病気やケガなどにより家賃の支払いが困難に

病気やケガにより長期入院等になってしまった場合や、それにより仕事を辞めなくてはいけなくなってしまったなどの時は、家賃の支払いが困難になることが多いです。
この場合、ご両親が健在で関係性が良好な場合や頼れる親族がいるときには一時的に家賃の支払いを助けてもらっている人もいます。ですが、単身世帯の場合、家庭上の都合などが原因であえて1人暮らしをしている人も中にはいます。

【病気により家賃の支払いが困難になったケースの実例】

  • 職場で倒れてしまい、そのまま長期入院をすることに。
    想像以上の大病だったため、病気の治療、その後のリハビリを考えると、しばらく職場復帰は難しいと医師から判断されました。生活は毎月ギリギリの状態で、貯蓄がないためこのままでは家賃などを滞納してしまいます。
    幸いなことに、両親が健在で実家に頼ることが出来たため、入院中の家賃などの生活費は両親が支払うことで難を逃れました。

今回のケースでは、本人に代わって支払いをしてくれる人がいましたが、頼れる親・兄弟がいない場合には家賃が支払えず滞納するというケースにつながることも少なくありません。

CASE3:そもそも家賃を支払う気がないなど悪質な入居者

前述したような失業や病気などの事情があるわけではなく、「そもそも支払う気がない」、「何度催促をしても応じない」、「支払えないことを当たり前のように主張する」などといった悪質なケースも中にはあります。

【悪質な入居者の実例】

  • 家賃の滞納があり、催促状を送っても何の返答もありません。
    そのため、直接電話で確認をしたところ、何度かは電話に出て「仕事中だからあとで折り返す」、「今手が離せない」などと言い訳をしていましたが、ついには電話に出ることもなくなり、着信拒否をしている様子。
    「これ以上滞納をするなら法的手段を取らざるを得ない」という内容の書面を送付したのち、本人から連絡が来ましたが、「払うお金がないのだから払えない。仕方がないじゃないか。お金が入ったら支払うから」などと横柄な態度。
    家賃10万円を超える部屋に入居をしているのですが、安定した職には就いておらず、収入と家賃のバランスがあっていない、また家賃は言い訳をすれば延滞できるなど、自分勝手に考える入居者です。現在では弁護士に相談し、支払いに応じるよう対応をしてもらっています。

そもそも家賃に見合った収入を得ていない人や、定職についていない人、近隣トラブルを起こすような「人柄に問題がある人」に見られるケースです。このような入居者が自分の投資マンションに入居した場合、オーナーは非常に労力と時間を使って家賃を督促するか、それとも退去してもらうことになるため、非常に大変です。

家賃滞納をされた場合、法律上はどうなる?

家賃を滞納されて困っているのはオーナーですが、「家賃を滞納している入居者を明日にでも追い出す」ということは法律上できません。
借家人や借地人を保護するために作られている借地借家法という法律が日本には存在します。そのため実務上で入居者に立ち退きを要請するには3か月以上の滞納実績が必要となり、そこから訴訟を起こし強制執行となった場合でも立ち退き完了となるまでに滞納開始から約10か月間はかかると言われています。
さらにその10か月間は家賃収入も得られないうえ、訴訟費用や強制執行代がそれぞれ約30~40万円ほどかかってきます。そして前述したように会計上では利益が出ているとみなされ税金もかかってくるなど、膨大な費用と時間を費やすという結果になります。

家賃の滞納リスクを回避するための方法

非常にリスクの大きい家賃の滞納ですが、未然にこのような事態を防ぐにはどうすればいいのか、その方法を考えてみましょう。

a:入居審査基準と入居者の人柄をしっかり見る

入居時の審査基準の項目は下記のようなものがあります。

入居時の審査基準の項目

  • 入居者本人の情報
    (住所・電話番号・性別・生年月日・年収・勤続年数)
  • 勤務先の情報
    (会社名・電話番号・住所・業種)
  • 連帯保証人の情報
    (住所・電話番号・性別・生年月日・年収・勤続年数・借主との関係)
  • 連帯保証人の勤務先の情報
    (会社名・電話番号・住所・業種)
    ※連帯保証人の項目については、連帯保証人が必要な場合のみ※

また、入居審査時に下記にある書類の提出を入居希望者に依頼することもあります。
※契約時に提出する場合もあり、必ずしも入居審査時とは限りません※

提出書類の種類

  • 住民票
  • 所得証明書
    (源泉徴収票のコピーなど)
  • 免許証
  • 印鑑証明書
  • 連帯保証人の承諾書
    (連帯保証人が必要な場合のみ)

入居審査を行う際は大きく3つのポイントがあります。

  • ①家賃支払い能力について
  • ②連帯保証人もしくは家賃保証会社の有無
  • ③入居者の属性・住む動機

この3ポイントのうち、入居審査で最も重要視されるのは③入居者の属性・住む動機です。
入居者が家賃を滞納するケースでも記述した「そもそも家賃を支払う気のない悪質なケース」を防ぐには、入居者の属性・住む動機をチェックすることは欠かせません。
審査基準にある収入面や職業が安定していることを確認されたとしても、住む動機や人柄がよくない人であればわざと家賃を支払わないことも十分考えられ、後々の大きなトラブルにつながりかねません。

b:信販系の家賃保証会社を通して入居審査を行う

そもそも家賃保証会社とは、借主の連帯保証人を代行する会社のことで、借主が家賃を滞納した場合に、貸主に代わって借主に家賃の支払いを行います。信販系の家賃保証会社は、クレジットカードを作るときと同様の審査があります。この審査に通らなければ信販系の家賃保証会社を利用することはできません。
ここで行われる審査は「家賃を毎月支払う能力があるか」という部分で、個人信用情報センターで照合されるため、過去に家賃の滞納があったり、クレジットカードや携帯電話料金の支払いが滞っていたりなど過去に支払いトラブルがあると審査に通りません。審判系の家賃保証会社を通しておくことで家賃が支払われないというトラブルを防ぐことができます。

c:入居審査がしっかりしている賃貸管理会社を選ぶ

自分の投資用マンションを賃貸に出すとき、ほとんどの方が賃貸管理会社で入居者付けを依頼しています。入居審査を行うも賃貸管理会社になるため、優良な入居者を付けてくれる会社を選ぶ必要があります。
入居審査が厳しい賃貸管理会社は2つステップを踏んで審査をしているところもあります。

Step1:家賃保証会社の審査を必須

この審査を通過した人のみ次のステップへすすむ

Step2:社内審査

過去に管理している物件で家賃滞納の有無、近隣トラブルの有無、住む動機が適正か、入居するにあたり相応しい人物かを確認

このように支払い能力と人柄をしっかりと確認している賃貸管理会社を選ぶと安心して不動産投資を進めることができます。

さいごに

入居者からの家賃の滞納は不動産投資において非常に大きなリスクとなります。
家賃収入が得られなくなるだけではなく、ローンの支払い、税金の支払い、入居者に立ち退いてもらうためにも多額の費用が必要となります。滞納リスクを未然に防ぐには賃貸管理会社がどれだけしっかりしているかが重要なカギになります。
家賃の滞納リスクを回避し、安心して不動産投資をできるよう対策をしましょう。

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