- 不動産投資
不動産投資最大の懸念「空室リスク」にはどう立ち向かう?有効な対策は?
不動産投資は株や先物などの投資に比べてローリスクであることが最大の魅力ですが、リスクがゼロというわけではありません。特に「空室リスク」については、不動産投資を検討中の方は調べたことがあると思います。せっかくの投資物件が稼働しないと、想定していた家賃収入が期待できなくなるからです。
そこで今回は、空室リスクをどうすれば解消できるのか、有効な対策法をどこよりも分かりやすくご紹介します。
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空室になる原因から空室リスクを読み解く
空室リスクを解消するためには、なぜ空室になるのか知っておくことが重要です。
空室になる原因は大きく3つだと言われています。
- 人口減少による賃貸需要が減少
- 過剰な新築建設により賃貸住宅の供給過剰
- 「家賃」が適正でないと空室リスクは高まる
人口減少による賃貸需要が減少
2020年現在、日本の総人口は約1億2千万人ですが、2045年には約1億人になるといわれています。
さらに、65歳以上は増加傾向ですが、15歳~64歳の生産年齢人口の割合は減少傾向にあるため、全国的に見ると賃貸需要は今後も減り続けてしまうでしょう。
全ての都道府県が人口減少しているわけではない
それでは都道府県別にみると人口の増減はどうでしょうか?
上図は1996年と2018年の都道府県の人口比較を視覚化したものです。
日本地図で青色部分は人口減少エリア、続いて緑色・黄色のエリアも減少傾向にあります。しかし、日本全国全ての人が減っているわけではありません。
人口が増加している都道府県ももちろんあります。それが東京・名古屋・大阪の三大都市圏をはじめ千葉・埼玉・神奈川・滋賀・福岡です。
【都道府県別】実際の空き家率は?
参考:平成 30 年住宅・土地統計調査住宅数概数集計結果の概要を参考に作成(https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/g_gaiyou.pd)
続いて空き家率ランキングを見てみましょう。
空き家率の低い都道府県TOP10を見てみると、人口が増加している都道府県のほとんどがランクインしていることがわかります。
このことから、人口が増加しているエリアには、まだまだ賃貸住宅の需要があるということが言えるでしょう。
過剰な新築物件の建設により賃貸住宅の供給過剰
人口が増加傾向で、空き家率の低い都道府県のマンションは数多く存在します。近年は新築物件の過剰供給により、賃貸需要と供給戸数のバランスが崩れてきています。
空き家率の低い都道府県だからというだけで、投資用マンションを購入することは大変危険です。
では、どんなマンションを購入すれば、上手に運用することができるのかを考えてみましょう。
駅徒歩分数は何分までが空室を抑えられるのか
これは、入居者が希望する駅から家までの徒歩時間をグラフにしたものです。
「家賃が安ければ、入居者はつく」と考える方がいますが、もちろん間違ってはいません。
しかし、上図のように家賃が多少高くても駅から徒歩10分以内、遠くても15分以内に住みたいと考えている方は多いです。
賃貸ニーズのある立地なのか
入居者に選ばれやすい物件として外せないものがあります。それは誰かにとって明確な賃貸ニーズのある立地かどうかです。
例えば「大学や、職場への移動がスムーズにできるかどうか」などは分かりやすいポイントになります。
現在、多くの大学や企業が都心へ集まっています。それは経済活動が都心で行われている証拠です。
※「日本の各都道府県の株式会社数と上場企業数」(上場企業サーチ)
(https://xn--vckya7nx51ik9ay55a3l3a.com/analyses/number_of_companies)をもとに作成
上記は国内の上場企業数を表したものです。全国で約3700社の上場企業が存在しています。
しかし、このうちの約8割が東京・神奈川・愛知・大阪の三大都市圏に集中し、三大都市圏以外のエリアでは2割に満たない数となっています。
ワークバランスは人それぞれですが、やはり通勤・通学に便利な場所に住みたいと考える単身者は多いようです。
なので、大学が多く存在するエリアや企業が多くあるエリアからスムーズな立地であれば入居者から選ばれやすい物件となります。
立地だけではない!設備やセキュリティーも大切
入居者に選んでもらうためには、駅徒歩分数以外にも設備も重要になります。
インターネットの環境はもちろんのこと、万全のセキュリティー、IoT化、働き方改革により自宅がオフィスとなる時代なので、より快適に過ごすことができる物件などは人気が高い傾向にあります。
その他にも、24時間稼働のごみ置き場、浴室換気乾燥機、ウォークインクローゼットなども人気のポイントです。
数多くある投資用物件から、いかに入居者に選ばれやすいマンションを購入できるかが、空室リスクを抑える大事な要素となります。
「家賃」が適正でないと空室リスクは高まる
入居者が支払う家賃を決定するときは、周辺の相場を知り、適正価格にすることが大切です。
相場よりも高すぎる物件は、入居者がつきづらいのは言うまでもありません。
これは東京都内各エリアの平均家賃相場です。
空室リスクを抑えるために、家賃を相場よりも大幅に下げてしまうと、物件の維持費や税金などで結果的に赤字になる可能性があり、競合する周辺物件も対抗して家賃を下げかねません。
家賃の価格設定がエリアの相場から逸脱している(高くても安くても)場合は、募集条件の見直しをしましょう。
その際は賃貸管理会社や不動産投資会社等のプロフェッショナルな方と十分協議して決めることが大切です。
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「家賃保証」「サブリース」で、空室リスク対策になるのか?
家賃保証やサブリースというのは、一見魅力的に見えます。
購入した投資用物件が空室になった場合でも、サブリース会社が家賃を支払ってくれるので、空室リスクなんて気にする必要ないと思うでしょう。
しかし、現実はそんなに甘いものではありません。
サブリースの仕組み
サブリースの仕組みは、上図のようにマンションオーナーが直接入居者に部屋を貸すのではなく、サブリース会社(不動産会社)と賃貸借契約を結びます。
そしてサブリース会社が入居者に部屋を貸します。
サブリース会社は部屋に入居者がいるいないにかかわらず、家賃から手数料分を引いた額をマンションオーナーに支払います。
手数料は毎月かかり、多いところで家賃の20%程度かかります。
空室保証の仕組み
サブリースとの大きな違いは不動産会社が間に入るわけではないということです。
空室保証の場合、マンションオーナーと保証会社で契約を結びます。もし空室が発生した場合に、空室時の家賃保証をしてくれます。
保証会社により保証内容や、保証条件が異なりますが、必ずしも家賃満額を保証されるというものではないことや、永久に保証されるというものではなく一時的措置となります。
良いことばかりではない「サブリース問題」が多発
仕組みを聞くと空室リスク対策になり一見良いように感じますが、もちろんメリットだけではありません。
不動産会社(サブリース会社)は、多くのオーナーから手数料をもらっているので、オーナーの物件が空室になった場合、この手数料で貯めたお金から空室時の家賃が支払うことができます。
ところが、長期の空室期間や家賃相場の下落の負担は、全て不動産会社にかかってきます。
管理戸数が増え、もし空室が増えると不動産会社の財力は傾き、オーナーとの契約内容を守れなくなります。
こういったトラブルに巻き込まれないためにも、保証に頼らず運用できるマンション選びをすることが大切です。
結局大切なのは信頼できる不動産会社が空室リスクに対処できるか!
不動産投資はオーナー一人で行うわけではありません。
不動産投資に関わる会社と一緒に運用していくことになります。
空室リスクを限りなくゼロにするためには、この会社選びが重要になってきます。
そこで、不動産投資関連会社3社の特徴とポイントを見ていきましょう。
①不動産投資会社
賃貸需要が見込めるエリアを論理的に選定し、関連会社とも密に連携が取れ、設備の整った物件を提案してくれる会社がベスト。
そうした会社はその商圏で、実績もあるはずなので、物件選びだけでなく、その豊富な経験を背景にマンション経営全体に有用なアドバイスをしてくれます。
②賃貸管理会社
どんなにいい物件であったとしても、賃貸管理会社が賃貸仲介会社としっかりとしたコミュニケーションがとれなければ入居者に選んでもらえません。
入居希望者をすぐに探し出す営業力のある会社を選びましょう。
③建物管理会社
実際は購入してからが不動産投資のスタートです。この先何十年も続く投資において建物管理は重要になります。
計画性のある大規模修繕、日々の清掃業務や、設備管理などをしっかり管理している会社を選定し、長く資産価値を維持しましょう。
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空室リスクは「物件の魅力」「賃貸需要」「営業力」で決まる
不動産投資で収益を上げて、老後に備えたいと考えている人は多いはずです。
収益物件を購入して、入居者を継続して確保できれば、実現することは難しくありません。
しかし、突然の退去などで空室となってしまうことはもちろんあります。
その空室リスクをいかに軽減できるかが重要です。
空室リスクはマンション経営の大敵として存在します。空室期間は物件が稼働しないため家賃収入がゼロになってしまうので、キャッシュフローに乖離(かいり)が発生してしまいます。空室リスクを回避するには、まず物件選びでつまずかないことが大事です。
全国的に人口減少が続いているなかで、唯一安定した賃貸需要があるのは利便性に優れた都心部。
もし「物件価格が安いから」と安易に郊外や地方にあるマンションを購入してしまうと、いつの間にか空室が続いているということにもなりかねません。
人口減少時代において、賃貸マンションの需要が継続して存在する地域を選ぶことが重要になります。
また、物件そのものに魅力がないと、やはり借り手は付きません。
とくに、都心部では昨今、防犯意識の高まりからセキュリティー対策に加え、震災や偽造問題の影響で建物の耐震性などは気になるところです。
しかしどんなに魅力的な物件でも、いつかは退去者が発生します。そんなときにモノを言うのが、パートナーである賃貸管理会社の営業力です。そのエリアの不動産市場に精通し、情報発信力のある会社であれば、入居者から退去申し出があった時点から次の入居希望者募集に向けて即座に動いてくれるでしょう。
退居から時間をさほど隔てずに借り手を見つけてくれれば、空室期間を最小限にとどめられます。
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