【第9回】 投資初心者に必ず読んでほしい 投資商品の種類と賢い選択法

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コロナ禍の影響でワークスタイルが変化したことで、今後の仕事への不安や、老後生活への不安などにより、年齢問わず投資への関心が高まっています。

ですが、何に投資をすればいいのか、投資への漠然とした不信感から、いまだ投資への一歩を踏み出せない人も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな皆さんのために、投資商品の種類や賢い選択法について、考察してみたいと思います。

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将来への不安から投資に対する関心が高まっている

「老後に2,000万円が不足する」という報道や、新型コロナウィルスの発生により将来への経済的な備えに対し、さらに関心が高まってきています。

2020年の春先に日経平均株価が大幅に下落した際、株式投資を始めるために証券会社の口座を新たに開設した方も多かったようです。

生活様式や働き方が大きく変わるニューノーマルの時代を迎え、自分自身の資産運用について考えるきっかけとなっています。

筆者は毎年多くの不動産会社で新入社員の研修の講師を行っていますが、講義の中で2つの大切な考え方を教えています。

  • (1)自分自身の仕事上のスキルアップのために「自己投資」をするという考え方

ここで言う自己投資とは、仕事にまつわる様々な分野の本を読む、時には有料セミナーに参加して情報・知識を蓄える。また、仕事に関連する資格を取得するために学校に通うなど様々です。

  • (2)自分自身の将来のための「経済的な先行投資」が必要という考え方

将来の結婚資金や住宅購入の頭金を貯めるために、毎月の給料のうち、10%とか15%の貯金を推奨しています。一番ダメなパターンがお給料を適当に使って余った分だけを貯金しようという考え方です。初めから給料の一定額はないものと割り切って生活する事も大切です。

手っ取り早いのは「積立定期預金」などを利用し、他行の預金口座からも一定額を定期的に入金できる「自動入金サービス」などを使うという事です。
とは言っても、預金だけではなかなかお金が貯まりません。そこで「投資をする」という考え方がとても大切になってきます。

一口に投資と言っても、株・外貨預金・不動産投資・仮想通貨など投資対象となる商品は様々です。数ある投資商品から、自分自身の年齢や置かれた状況に見合った投資商品を選択しなくてはいけません。

預金利回りは低下傾向に

2021年現在、政府による歴史的な低金利政策が続いています。これにより、銀行にお金を預けた場合の金利も非常に低くなっています。

バブル期には、郵便局などの定期預金の金利はなんと5%程度ありました。つまり3,000万円預けると、たった1年間で利息が150万円ももらえた訳です。現在では考えられない、まさに「夢の高金利」と言えます。

それに比べて、現在の定期預金金利は金融機関にもよりますが0.002%ほどです。3,000万円預けても1年間の利息はわずか600円となります。

また「個人年金保険」などの運用利率も低下傾向となっており、金利の高かったバブル期のような高利回りは期待できない状況となっています。そして個人向け国債は10年、5年、3年などの期間により金利も変わりますが、最低金利は、0.05%と低い状況が続いています。

インカムゲインとキャピタルゲインとは

投資をする際の収益は大きく「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2つに分かれます。

インカムゲイン」とは、所有する投資商品から継続的に収益が得られるもので、銀行預金の利息、株の配当、不動産なら家賃収入などにあたります。

将来の年金代わりとして投資をする場合は、長期で継続的に「インカムゲイン」を得られる投資が必要となってくる訳です。

キャピタルゲイン」とは、所有する投資商品を購入時よりも高値で売却する事で得られる収益で、株式や金、不動産などの売却益がこれに当たります。購入した価格より値上がりすれば収益となりますが、値下がりした場合には損が発生します。

バブルの頃は株価・不動産価格も大きく値上がりし、キャピタルゲインによって大幅に利益を得られた人がいました。

筆者が不動産の営業マンをしていた頃は、バブル前、分譲価格が20㎡で約1,500万円のワンルームマンションが新宿にありました。ところが、バブルが到来した頃には、なんと4倍の6,000万円で売却できたという事例があります。

また株式投資における事例として筆者も自分で作った一定のルールの下、取引をしています。私の株式投資法は

  • ①株価が10%上昇したら売る
  • ②株価が5%下がったら売る

つまり一勝一敗で終わっても5%の利益は自動的に生まれるという「スキーム」を作っているという事です。このようにキャピタルゲインを得るためには売り時の見極めが重要となります。

植物の収穫に例えるなら、果物のように実がつき毎年収穫できるものが「インカムゲイン」、大根や白菜のように一回食べたら終わりなのが「キャピタルゲイン」と考えると分かりやすいでしょう。

それぞれの投資の長所とは

どの投資商品にも長所と短所があります。

例えば「預貯金」は利息のリターンが少ない代わりに元本は安定しており、現金を手元に置いておくよりも管理しやすく、いつでも引き出す事ができます。つまり流動性が極めて高いと言えます。ただし、インフレ時には現金の価値が低下する事になり、よりリターンを得にくくなります。

「国債」もリターンは低いですが安全性は高く、一定期間の余剰資金の運用には向いているのではないでしょうか。

「株式投資」の場合、高額投資することで値上がりした場合のキャピタルゲインは投資した金額に準じて大きくなりますが、値下がりした場合、投資した金額に準ずるため、損失も大きくなります。また元本が保証されておらず、投資した金額から収益を出す、もしくは損益を出さないようにするためには、市場の見通しが極めて重要となることから、初めての方には難しいものがあります。一夜にして株価が大暴落するような世界恐慌が襲った例も過去に何度かあり、それだけ先の予測が難しい投資とも言えます。

若い世代を中心に注目を集めているビットコインなどの「仮想通貨」では、市場の動向が激しく、大きな収益を上げている方も多いようです。ただし、株式投資と同様に、大きな収益が出るという事は、反対に大きな損失が出る場合もありますので慎重な運用が求められます。

不動産投資(特にマンション投資)の場合は、マンションの1室から購入することができ、不動産投資用ローンを利用することで少ない自己資金で始める事が可能です。また空室の場合を除き、家賃収入が大きく変動する事はありません。つまり多くの投資商品がある中でワンルームマンション投資は極めて安定した投資商品と言えます。

分散投資とは

昔から資産3分法と言って、「株式・不動産・現金(預貯金)」の3つに分散投資する事で様々なリスクに備えるという方法があります。

これは「アセットアロケーション」という考え方で、運用資金を複数の資産(アセット)に配分(アロケーション)して運用し、投資先を一つに限定せずに、「多極的」に投資することで、分散した試算を互いに補いながら、リスクとリターンのバランスを取ります。

つまり投資対象・金融商品などは多くありますが、年齢・年収・資産の状況、投資目的などによってこれらを組み合わせる事も重要であるという事です。

ハイリスクハイリターンで短期的な収益(キャピタルゲイン)を狙う投資、長期的に安定した収益(インカムゲイン)を得る投資、そして手元資金として流動性の高い預貯金などです。資産を分散する事で経済的な変動などによるリスクを軽減します。

投資の4番バッター「マンション投資」

将来的に「年金代わりとして収益を得る」ためには、「長期安定した投資」を中心に据える必要があります。

野球に例えると、強い球団にはしっかりとした「4番バッター」が構えています。1番や2番バッターは、試合によって組み替えて対応していき、4番バッターを中心にチームが組まれる訳です。つまり投資の4番バッターを据える事が重要になってきます。

では投資の4番バッターの条件は何でしょうか。

優秀な4番バッターが常に打率がいいように、投資では常に安定した収益を得る事が条件となります。

つまり安定した収益で経済的な変動に強い、常に打率をキープする4番バッターはズバリ「マンション投資」となる訳です。

経済的な変動の影響を受けづらい投資は

長期的に安定したインカムゲインを得るためには、経済情勢などの外的要因の影響が少ない事が求められます。

マンション投資は家賃収入が契約によって定められます。景気変動による外的要因に左右されづらく、コロナ禍においても賃料は概ね変わらず、リーマンショックなどの経済危機の時も家賃への影響は、ほとんどありませんでした。よって、極めて安定した収益を得ることが可能です。

マンションオーナーが病気になったり仕事を失ったりしても、所有する物件に入居者が付いている限り家賃収入は入ってきますので、「困った時に頼れる収入源」と言えます。

リタイア後の生活設計を見据えた「逆算投資」とは

マンション投資でも、退職を見据えた「逆算投資」という目線が必要となってきます。つまり本人が定年退職する時に経済的にどういった状況が理想かを思い描き、そのためには何をすべきかと考えることが大切です。

例えば、65歳になった時点で購入物件の不動産投資用ローンを完済させておきたい場合、返済可能な期間が30~35年だったとしたら「30~35歳には不動産投資を始める」というように逆算して計画を立てます。

もちろん不動産投資用ローンを繰り上げ返済したり、退職金を利用して残債を一括返済したりすることも可能です。さらに団体信用生命保険に主眼を置く場合は、65歳以上の不動産投資用ローンの完済でも問題はありません。

大切なことは、将来から逆算する時に不動産投資用ローンの返済スケジュールを具体的に計画を立てることです。

低金利は投資に有利

低金利により預金金利や保険の利率、配当などは低い状態が続いています。

しかし、投資をする方にとっては低金利で資金が調達でき、さらに金利が低いことにより、月々のキャッシュフローも改善されます。つまりマンション投資にも絶好の機会と言えます。

低金利で機関投資家・企業なども資金調達がしやすくなっており、こうした余剰資金が都心の不動産に流入し、都心部などを中心に地価の上昇が続いてきました。

今後も東京などの再開発が活発化してくると、コロナ禍収束後は再び地価が上昇し不動産価格も上昇する可能性が高くなっています。

こうした中でも不動産、特に東京エリアの単身者用住宅の需要は大きく、資産価値も落ちづらいと考えられます。

より大きな取引のできる「レバレッジ」とは

レバレッジとは「てこの原理」の事で、借入をして資金を増やす事で大きな投資ができる事です。株式の取引などでは信用取引と言い、一定の保証金を証券会社に預け、保証金の数倍の取引をすることもあります。

「インカムゲイン」が目的の場合は、投資額が高額になる事により、得られる収益も大きくなります。

不動産投資の場合は、自己資金が少なくても不動産投資用ローンを利用する事でワンルームマンションの購入ができ、毎月の返済は家賃収入で返済していきます。

小口の不動産投資などは自己資金が100万円程度で買えるものもありますが、表面利回りが4%として年に4万円の収益があっても、月に約3,300円程度です。

ですが、投資用ワンルームマンションを購入して始める不動産投資は、銀行から借入をして3,000万円のマンションを購入すれば同じ4%でも年間収益は120万円、月々10万円の収益が得られる事になります。

ただし、借入金にも利息がかかりますので、収益とのバランスが大切です。

マンション投資のような安定した投資にレバレッジをかけると、それだけ安定した収益が増える事になります。よって、レバレッジをかける投資をする時は、「投資商品の安定性」を見る事が重要です。

歴史のある「不動産経営」

江戸時代、江戸の街には時代劇や落語でも有名な「長屋」が多くありました。これは現在のワンルームマンション経営の元祖とも言えます。

また昔から東京にはアパート・下宿なども多くあり、地方から出てきた単身者の方などの主な住まいとなっていました。つまり単身者向けの住宅を経営する事は非常に歴史があり、東京の人々にとっても馴染みのあるものです。

それだけ法制度なども整っており、安定した環境が形成されてきました。

これは「投資」というよりも「公共インフラ」にも近い存在と言えるのではないでしょうか。

このように投資の対象は非常に幅広く、様々な選択肢がある事が分かります。読者の皆様の好み・考え方も様々と思われますが、大切な事は長期の目線で投資をする対象と短・中期的な目線で投資をする対象を明確に仕分けする事と考えます。

人生100年時代の中で投資はとても大切ですが、最も大切な事は自己投資をしっかりして「自分の株」を上げる事ではないでしょうか。

著者紹介

野中 清志(のなか きよし)
株式会社オフィス野中 代表取締役 住宅コンサルタント
マンションデベロッパーを経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。
首都圏・関西および全国でマンション購入に関する講演多数。内容は居住用から資産運用向けセミナーなど、年間100本近く講演。

最近の主な著書・連載等

  「売れる」「貸せる」マンション購入法 週刊住宅新聞社
「ワンルームマンション投資法」週刊住宅新聞社
「お金」見直し応援隊 日経BPセーフティジャパン(Web) 他多数

テレビ出演等

  TOKYO MX TV他「ビジネス最前線 不動産による資産活用の今 」(2016年3月)
  BS12〔TwellV(トゥウェルビ)〕「マンション投資 成功へのセオリー」(2014年12月)
「海外投資家も注目する東京の不動産」(2013年11月)
  他ACT ON TV 等多数

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