教えて“不動産投資の法人化”!節税などのメリットがある?
不動産投資がだんだん軌道に乗り、複数の区分マンションを運用するレベルになると、税務の関係から「法人化」をすすめられるようになるかもしれません。
それでは、不動産投資の法人化とは、どのようなことを意味するのでしょうか。
そこで今回は、不動産投資の法人化とそのメリットについて見ていきましょう。
不動産投資の法人化、目安は「1,000万円」って本当?
不動産投資の法人化とは「資産管理法人」を立ち上げて、所有不動産を個人から法人の管理に切り替えることを意味します。「法人化の目安は、家賃収入が1,000万円を超えてから」と言われますが、その理由は、個人の所得税と法人税の税率の違いにあります。
以下で、所得税率と法人税を比較してみましょう(※出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」「No.5759 法人税の税率」)。
所得税率
- 年収695万円超~900万円以下:23%
- 年収900万~1,800万円:33%
- 年収1,800万~4,000万円:40%
法人税率
- 年商800万円以下の中小法人:15%(事業年度開始のタイミングが平成31年4月1日以後は19%)
- 年商800万円を超える法人:23.4%(事業年度開始のタイミングが平成30年4月1日以後は23.2%)
このように比較してみると、目安と言われる1,000万円でも、個人の所得税のほうが低いことがわかります。
しかし、サラリーマン不動産投資家の場合は、不動産の所得以外に、本業からの収入があります。不動産だけの収入で1,000万円を超えているレベルだと、両方を合算すると40%の税率が課せられる人もいるでしょう。
また、少し前までは所得税の税率が現在と異なり、900万円を超えると大幅にアップするようになっていたので、「目安は1,000万円」と言われるようになったようです。
不動産投資の法人化、そのメリットは何?
法人化のメリットの1つに、経費で支出をコントロールしやすくなるという点があります。
法人の場合は、法人として営んでいるすべての事業の利益と損金を通算して、所得が計算できます。
対する個人では、家賃収入で得た不動産所得と、不動産の売却から得た譲渡所得は別々のものとして扱われるので、通算することができません。
また、法人化すると家族を役員にして、賃料収入から報酬を支払うことができます。オーナー1人の所得とするよりも家族で所得を分け合ったほうが、1人あたりの課税所得が減るので個人所得税の節税につながります。
まとめ
【この記事のポイント】
- 不動産投資の法人化とは「資産管理法人」を立ち上げて、所有不動産を個人から法人の管理に切り替えること
- 法人化の目安は、家賃収入が1,000万円を超えてから
- 不動産投資の法人化のメリットの1つとして、経費で支出をコントロールしやすくなる点が挙げられる
サラリーマン不動産投資家の場合、まずは自分の本業での収入がどれくらいで、どれくらいの税率がかけられているかをチェックしておきましょう。
法人化での節税は、不動産収入と合算した課税対象額の税率差を利用して行います。法人のほうが税率的に有利だと見込めたら、法人化を視野に入れることをおすすめします。
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