【第5回】中央線沿いのビッグターミナル駅「立川」が今不動産投資で注目を集める訳
新型コロナにつきましては先般、成田空港に初めてワクチンが到着し、国内でもこれから徐々に接種がはじまります。その先には経済においても、明るい兆しが見えてくる事が期待されています。実際、直近の報道でも2020年10月から12月のGDPは、前期比において上昇しています。
新型コロナはテレワークなど、私達の生活に大きな変化をもたらしました。それは仕事だけではなく、住むエリアについても同様の事が言えます。中には東京都から地方都市に移住したり、また地方都市の温泉街などで仕事をしたりと、いわゆるワーケーションという新しいワークスタイルも誕生しています。
しかし、テレワークにつきましては、完全導入する会社もありますが、週に何日かは都心の勤務先に出社するという働き方の会社も増えているそうです。このような時代の中で、都心にほどよく近く、良好な生活環境が保て、さらに都市と比べて家賃に値ごろ感があって楽しめる街が人気上昇している傾向にあります。
そのような条件を満たす「立川」エリアの魅力を深堀りしてみたいと思います。
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新型コロナによる人口の移動とマンション投資の関係は
新型コロナは、人々の住まい選びにどのような影響を与えているのでしょうか?
総務省の調べによると、2020年5月及び、7月から6ヵ月連続で、東京の人口が転出超過となっています。転出先は神奈川、千葉、埼玉など東京周辺部が多くなっています。
都心部の人口の推移をみると、例えば、港区では人口増加が続いていましたが、2021年1月には前年同月比で人口が減少となっています。
一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が、2021年1月に実施した調査によると、テレワークによる出勤者の削減割合は、緊急事態宣言下の11都府県で65%となっており、7割以上削減した企業も37%という結果から、テレワークが普及してきている事が分かります。
こうした事もワンルームマンションの立地に影響を与えてきています。つまり、都心からある程度離れた立地に注目が集まっている訳です。
ただし、ワンルームマンションの主な需要層である単身の会社員の方などは、利便性も重視する傾向にあります。テレワークとは言え、出社する事もありますので「都心から適度に離れているものの、都心へのアクセスが良い立地」が好まれてきています。
また、大企業ほどテレワークが浸透している傾向にあり、大企業の集中する「新宿」や「東京」などに直通で行ける沿線にも注目が集まっています。
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長い歴史を持つ中央線と「立川」駅
「立川」駅及び中央線は古くからの歴史があります。
中央線は1889年(明治22年)4月に甲武鉄道が「新宿」~「立川」間、同年8月に「八王子」駅間で開業した路線が前身となり、開業130年を超える歴史のある路線です。
つまり、古くから「立川」が交通の要所として確立していた事が分かります。
これだけ歴史があるという事は、駅周辺なども時間をかけて醸成されており、商業的なエリアとしても発達してきています。
人気の立川は商業施設が多いエリア
立川エリアは中央線の駅の中でも中野、吉祥寺と言ったとても人気のあるエリアに引けを取らない魅力満載のエリアと言えます。
筆者も映画鑑賞などでよく訪れますが「立川」駅周辺には多くの商業施設が立ち並び、それはまさしく圧倒される程の数の多さです。
「立川」駅北口からはペデストリアンデッキがあり「ルミネ立川」「ヤマダデンキLABI LIFE SELECT立川(立川タクロス)」「伊勢丹立川店」「立川高島屋S.C.」「ビックカメラ立川店」など多くの商業施設もあり、ショッピングを楽しむ事ができます。
さらに、駅南口でもモノレールの駅などへペデストリアンデッキが繋がれています。「エキュート立川」「グランデュオ立川」などの駅ビルや「アレアレア」など多くの商業ビルが建ち並んでおり、とても都心から離れたところにあるとは思えません。
大型のデパートのみならず、古くから代々続いている老舗まで、とても多くの商店があります
「立川」駅の周辺部にも大規模商業施設が多い
さらに「立川」駅の周辺部にも様々な施設があります。
「立川」駅から徒歩10分の所には、東京ドーム約35個分の広大な「国営昭和記念公園」があります。ここは市民の憩いの場であり、立川市以外からも多くの人が訪れます。敷地内ではレインボプール、バーベキューガーデン、サイクリングなどを楽しむことができます。(ただし現在、新型コロナのため3月7日まで一部休園中です)。
「国営昭和記念公園」は、1922年(大正12年)に開設された立川飛行場が前身となっています。戦後は米軍基地となっていた時期もあり、「立川」が「基地の街」として発展していた時期もありました。
「国営昭和記念公園」の東側には「グリーンスプリングス」が2020年4月にオープンしています。多目的ホールや天然温泉&ホテル、オフィス、商業施設、広場などで構成されています。屋上には天然温泉を利用したプールなどもあり、都心では味わえない広い空間を感じる事ができます。
駅から10分の所には「IKEA立川」があり、多摩都市モノレールで2駅の「立飛」駅前には「ららぽーと立川立飛」が2015年に開業しています。その隣には、「TOHOシネマズ立川立飛」が2020年9月に開業した他、「立川」駅近くにも「シネマシティ」「キノシネマ立川高島屋S.C.館」など大型の映画館(シネマコンプレックス)も多くあります。
このように「立川」駅周辺は、広い敷地を有する郊外型の商業施設も多くあり、その中に近代的な建物が多く建設されています。
仕事帰りや休日などにもショッピングや映画など「オフの時間」を楽しむ事ができます。
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官庁なども集積、防災拠点となっている「立川」
また立川エリアは、意外にも官庁街の側面も併せ持っています。これは国が多極分散型の機能を有する業務核都市として、立川エリアを位置付けているからです。
霞が関だけに官庁街が集積すると、地震など有事の際に国としての対応ができなくなる可能性もあります。そこで、同じ東京の都心から少し離れた所に、国の中枢機関、例えば財務省、厚生労働省、国土交通省などの支所を形成している訳です。
地震などの際には、「国営昭和記念公園」が防災拠点となり、公園横の「立川広域防災基地」は、災害応急対応の中枢を担う施設となります。
立川エリアは、災害時にも非常に重要な拠点となっている訳です。
立川はカルチャーやグルメの街でもある
立川市の観光協会においてはアートと一体化した街づくりを推進しています。
立川市はアニメや漫画、映画のロケで使われる事も多く、「立川まんがぱーく」は漫画好きの方にはたまらない魅力があるようです。近年、中野がサブカルチャーの街として脚光を浴びていますが、立川エリアにおいてもそのような雰囲気が随所に漂います。
また、グルメの方にも魅力的な街で、あらゆるジャンルの食事が楽しめます。ラーメン店が多く集まるエリアや、それぞれのジャンル毎に楽しむ事もできます。
巨大ターミナル駅である「立川」駅は多くの人が集まる街
「立川」駅は、JR中央線のほかにも、JR青梅線、JR南武線、そして多摩都市モノレールも利用でき、多摩エリア最大のターミナル駅である事が特徴です。特に多摩都市モノレールは今後延伸が計画されており、将来性も高い路線と言えます。
多くのエリアから「立川」駅に来やすいということは、それだけ多くの人が集まりますので、企業や商業施設なども多く集まる傾向にあります。
立川エリアには、多くの人が集まる事によりお店などの売り上げも上がり、結果、立川市に入る法人住民税も莫大な金額となります。そのような税収入により立川市における様々なサービスも向上する訳です。
就業人口も多い「立川市」
立川から都心部に勤めに行く方も多いですが、立川市にも多くの企業があり就業人口も多いエリアです。立川市に通勤してくる方も多く、立川市の中間人口比率は、東京都市部で最も高くなっています。つまりそれだけ立川市、特に「立川」駅周辺の住宅需要が多いと推定されます。
つまり職住近接を求めた住宅需要と、テレワーク&都心勤務の方の住宅需要が重なり合うエリアと言えます。
参考:<東京都「東京都昼間人口の予測」令和2年3月>
「立川」駅周辺においては駅に近いワンルームマンションは希少性が高い
このような多くの魅力を有する立川エリアですが、冒頭に述べた通り、駅の周辺は商業エリア、さらに官庁街、さらに巨大な公園が駅周辺の土地の面積の多くを占めており、住宅街としての土地の面積は、駅周辺には以外と少ないのです。
立川エリアは、街を歩いていると、ここは渋谷か新宿かと感じる程、多くの若者でにぎわっています。しかし、そのような若い方が多く住む単身者向けのワンルームマンションの供給は、極めて少ないエリアと言えます。
事実、別表の通り2020年6月時点では、わずか2棟しか発売されていません。
参考:<不動産経済研究所調べ>
このような観点からも、今後立川エリアの魅力と住宅人気は続くと予想されます。
著者紹介
野中 清志(のなか きよし)
株式会社オフィス野中 代表取締役 住宅コンサルタント
マンションデベロッパーを経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。
首都圏・関西および全国でマンション購入に関する講演多数。内容は居住用から資産運用向けセミナーなど、年間100本近く講演。
最近の主な著書・連載等
「売れる」「貸せる」マンション購入法 週刊住宅新聞社
「ワンルームマンション投資法」週刊住宅新聞社
「お金」見直し応援隊 日経BPセーフティジャパン(Web) 他多数
テレビ出演等
TOKYO MX TV他「ビジネス最前線 不動産による資産活用の今 」(2016年3月)
BS12〔TwellV(トゥウェルビ)〕「マンション投資 成功へのセオリー」(2014年12月)
「海外投資家も注目する東京の不動産」(2013年11月)
他ACT ON TV 等多数