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【第11回】検証!「高級腕時計」と「不動産投資」“3つの共通点”
2021年現在、新型コロナの影響による不安定な時代の中、投資対象として様々なものがクローズアップされています。筆者の事務所がある「中野」の高級時計店では、皆さんがよく知る高級腕時計が年々価格も高騰しているそうです。
昔、大手不動産会社で営業職をしていた頃、皆が憧れる高級腕時計を営業部長がお持ちで「すごいなあ」という印象がありました。高級腕時計の中には、中古のワンルームマンションよりも高い1,000万円を超える品も数多くあるそうです。
高級腕時計の価格が高騰している理由は2つあって、高級腕時計が投資対象となっていると考えられること、また1点1点手作りの時計なので、数多く生産することが出来ないためです。
今回は意外かもしれませんが高級腕時計とワンルームマンションの共通点について検証し「不動産投資の本質」についても述べてみたいと思います。
高級腕時計と不動産投資“3つの共通点”
高級腕時計と不動産投資には3つの重なるキーワードがあります。
【その1】希少性
有名な高級腕時計は経験豊かな職人さんによって1点1点手作りで製造されるものがあり、大量生産ができない商品も多く存在します。さらに、熟練した職人の方も年々減少しているようです。ワンルームマンション業界においても同様の事が言えて、首都圏(東京一都三県)においてファミリーマンションの供給が年間で約30,000戸(※1)あるのに対して、投資向けのワンルームマンションは年間で約5,000戸(※2)となっています。
ワンルームマンションは都心にアクセスしやすく、駅に近い、極めて希少性の高いエリアに建設される事が多いからです。さらにマンション業界においても現場で働く若年層の建設業離れや、離職率の増加等により人手不足の状況となっています。
つまり高級腕時計とワンルームマンションは大量供給ができず、希少性があるという点で共通しています。
(※1)参考:株式会社長谷工総合研究所 「首都圏・近畿圏分譲マンション市場動向 ~2019年市場の総括と2020年の見通し~」
(※2)参考:株式会社長谷工総合研究所 「投資用(ワンルーム)マンション市場動向」
【その2】資産性
高級腕時計の中には前述したように供給数に限りがあるため、それだけ資産性も高くなる傾向にあるそうです。
もちろんコレクションを目的として所有される方もいますが、純粋に「将来、売却益を得るための資産」として所有する方も多いそうです。
しかし、所有しているだけでは「収益」を生み出しません。実物資産として価値の高い「金」「宝飾品」「絵画」なども同様のことが言えると思います。
同じ「資産性」でもマンションの資産性は、その物件のエリアだけではなく、沿線上の再開発や、最寄りの駅の開発により街自体の土地の価値が上がれば、マンションの資産価値に連動する、あるいは影響を与えやすいです。
またワンルームマンションの場合には、その収益性・入居率が資産性に直結します。
現在大リーグエンジェルスの大谷選手が、特に打撃部門において驚異的な成績を収めていますが、成績優秀者は当然の事ながら年棒も上がっていく訳です。
ワンルームマンションも同様で、再開発や交通アクセスの向上で「入居率」や「家賃収入」が上がれば「売却価格が上昇」しやすいので、「資産価値が上がる」事を意味します。
【その3】所有する喜び
高級腕時計を身に着けている方は、とても優雅な時間を過ごせると共に、所有している「喜び」を味わう事ができるでしょう。つまり実物資産を所有するという喜びです。
これを資産運用に置き換えてみると、例えば近年では「仮想通貨」が急速に拡大していますが、仮想通貨は形のない、いわば「無形資産」とも言えるでしょう。
それに対してワンルームマンションなどは、まさに「実物資産」であり、「所有している喜び」を肌で感じる事ができます。
マンションを契約した後、ローン審査、一通りの手続きを経てマンションオーナーとなった時はまさに所有する喜びを味わう事ができる瞬間です。「人に貸すにはもったいない」と感じる位の投資不動産を購入する事がとても大切です。
共通していない点とは
以上のように高級腕時計とワンルームマンションは、いくつかの共通点がある事が分かります。
では逆に共通していない点は何でしょうか。それはズバリ「収益資産」であるかどうかという点です。
ワンルームマンションには毎月「家賃収入」という収益がありますが、高級時計には毎月の収益はありません。高級時計で利益を得られるのは「売却した時」の1度だけです。
これに対してワンルームマンションは毎月の収益がある上に、売却してもさらに利益を得られる可能性があります。同じ投資でも、ワンルームマンションの方が有利と考える方が多いのもうなずけます。
また逆に時計は身に付ける事でステータスとなりますが、ワンルームマンションの場合は所有しているという「内心」におけるステータスを持つ事ができます。
ワンルームマンション購入の本質とは
では次にワンルームマンション購入の本質について考えてみましょう。例えば3,000万円のマンションを購入するとして、その3,000万円の中には何が含まれているのでしょうか。
(1)そのマンションが建設される健全な市場(マーケット)を買っている
どんなに立派なマンションを購入したとしても、そのエリアの人口が減少傾向にあり最寄り駅の乗降客数も減り、駅前がシャッター通りとなればもはや健全な市場とは言えないケースもあります。
そして、<入居率の低下→家賃の低下→資産価値の低下→換金性の低下>とつながっていくことになりやすいです。
(2)そのマンションの共用部分を買っている
共用部分とは専有部分以外のいわゆるエントランスホール、エレベーターホール、エレベーター、廊下、その他諸々です。
それではここでクイズです。
答えは×です。
マンションのバルコニーは共用部分です。但し専用に使用できる「専用使用権」がある部分となっています。またマンションのバルコニーは避難通路ともなりますので、管理規約・使用細則等に基づいて正しい利用が義務付けられています。
答えは、玄関ドアはドアの躯体部分は共用部分ですが、ドアの内側の部分は専有部分となっています。
投資用マンションの購入時に着目すると、良い共用部分のチェックポイントは、美しく清掃管理されている事、次に共用部分が全体的にシンプルである事です。共用部分に付帯設備が多すぎると、将来的に維持管理コストの上昇により管理費・修繕費が大幅に上がる可能性があります。管理コストが上がるという事は、投資家から見れば「維持管理費の上昇=手取り額が減る」という事を意味しますので、とても大切な要素となります。
(3)そのマンションを分譲する会社の信用力を買っている
不動産業界は経験と実績が信用力に直結します。創業年数や今までの分譲実績、賃貸管理戸数、お客様の満足度などが実績となります。また当然の事ながら賃貸管理や建物管理などをワンストップで任せられるという事もとても大切です。
このように一口にワンルームマンションを購入するといっても同時に様々な要素を買っているという訳です。
結論としては経験豊かな実績のある不動産会社から徹底的にマーケティングされた優良物件を購入する事が大切です。
著者紹介
野中 清志(のなか きよし)
株式会社オフィス野中 代表取締役 住宅コンサルタント
マンションデベロッパーを経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。
首都圏・関西および全国でマンション購入に関する講演多数。内容は居住用から資産運用向けセミナーなど、年間100本近く講演。
最近の主な著書・連載等
「売れる」「貸せる」マンション購入法 週刊住宅新聞社
「ワンルームマンション投資法」週刊住宅新聞社
「お金」見直し応援隊 日経BPセーフティジャパン(Web) 他多数
テレビ出演等
TOKYO MX TV他「ビジネス最前線 不動産による資産活用の今 」(2016年3月)
BS12〔TwellV(トゥウェルビ)〕「マンション投資 成功へのセオリー」(2014年12月)
「海外投資家も注目する東京の不動産」(2013年11月)
他ACT ON TV 等多数
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