2027年のリニア開業は絶望的?!不動産投資への影響とは
2027年開業予定として、建設が進められてきた夢のリニア中央新幹線「品川―名古屋間」。先日JR東海が「2027年開業は難しい」とはじめて表明しました。
リニア開通による資産価値向上を期待して不動産投資を始めた方、もしくはこれから始めようとしている人も多いのではないでしょうか。今回はリニア開通が遅れることにより、今後の不動産投資市場にどのような影響が出てくるか見ていきましょう。
リニア開通が不動産投資に与える好影響とは
そもそもリニア中央新幹線が開業すると、不動産投資にどのような影響があるのでしょう。
世界でも有数の人口集積地である日本の三大都市圏(東京・名古屋・大阪)が相互に1時間程で結ばれることにより、世界的に見ても類のない巨大な都市が生まれることになります。巨大な都市には、世界中から人・モノ・金・情報が集まってきます。さらに、それらの流通が活性化することで、世界的な名だたる企業や有名企業の日本進出、もしくはここから新たなグローバル企業が誕生することも考えられます。
また移動時間が大幅に短縮されることにより、地方都市から都市圏、地方都市から地方都市、へのアクセスがよくなり、名古屋・東京間が通勤圏内になる等、今までは考えられなかったライフスタイルの転換の可能性も秘められています。この三大都市圏をひとつの大きな商業圏として近隣府県の経済も一緒に盛り上げていこうという施策が国土交通省の掲げているスーパーメガリージョン構想です。
では、これが不動産投資にどう関係してくるのでしょうか。
経済が盛んになることにより、様々な産業が発展してきます。そうすると製造や物流等の分野も付随して伸びることになり、新たな雇用の創出にもつながってきます。
人は、仕事がある場所に集まります。すなわち、雇用が生まれる場所は賃貸需要の増加に直結するのです。そして、賃貸需要が高まると家賃の増額も見込めます。就業人口が増えることは不動産投資にとってはプラスに影響してくるのです。
また、オリンピックやリニア開発を見越した再開発も各地で行われているため、三大都市圏を中心に地価は上昇傾向にあります。出口戦略まで考えると三大都市圏は不動産投資を始めるのにうってつけのエリアなのです。
各地で再開発プロジェクトが進行中
リニア開発に隠れがちですが、三大都市圏を中心に中長期的な再開発プロジェクトが進行・計画されています。都市に投資、街に投資するということで三大都市圏の代表的な開発を見ていきましょう。
<東京>
街を見渡せば何年も工事をしている建設中のビルに出会う東京ですが、実際数えきれないほどの再開発が進んでいます。
東京駅周辺や虎ノ門エリアは特に開発が多いですが、その中でもの超大規模な再開発プロジェクトとして進んでいる「常盤橋プロジェクト」には注目です。敷地面積3.1ヘクタール、日本一の高さとなる390メートルの超高層タワーや7000㎡の広場を有し、完成すれば東京の新たなシンボルとなるのではないでしょうか。今世紀最大とも言われるこのビックプロジェクトは2027年の竣工を予定しています。
また記憶に新しいのが、山手線には49年ぶりの新駅高輪ゲートウェイ駅の誕生です。先行して開業しましたが、2024年にはまちびらきを予定し、品川から田町までの敷地面積72,000㎡(東京ドーム約1.5個分)、延べ面積851,000㎡(東京ドーム約18個分)にも及ぶ大規模な開発が進められています。
<名古屋>
リニア開通を迎えるにあたり、名古屋駅前は2000年代からのこの20年間で劇的な変化を遂げてきました。JPタワー名古屋、大名古屋ビルヂング、ミッドランドスクエア等、駅前のビルが続々と建て替わり、国内有数の超高層ビル群が誕生し、名古屋市の地価は2000年からの20年間で40%も上がっています。
そして2022年に着工が予定されている名鉄名古屋駅ビルの再開発は今後の大目玉になります。6棟のビルを一体的に建て替え、高さ180メートル(地上30階程度)、横幅400メートルにも及ぶ国内には前例のない超巨大ビルを建設すると発表されています。この駅ビルの中には、オフィス、商業施設、ホテル、住居などが入る予定となっており、これに伴い地下の名鉄名古屋駅の路線拡張やバスターミナル機能の継承も行われ立派なターミナル駅としても生まれ変わります。
ビジネス・商業の中心地である栄エリアでは、中部日本ビルディングの複合型ビルへの建て替えをはじめ、高層オフィスビルなどの建設も着々と進んでいます。
ビル開発が進むことにより、東京都心を凌ぐ企業力がある名古屋はビジネス街としてのポテンシャルをより一層高めていくのではないでしょうか。
<大阪>
大阪の開発で注目すべきはまず交通ではないでしょうか。リニア中央新幹線は、早くて2037年に大阪まで全線開業予定と発表されていますが、実は他にも多数の延伸計画や開業予定の路線が目白押しです。大阪メトロ中央線の延伸計画、京阪中之島線の延伸計画、近鉄奈良線の直通特急計画、2029年開業予定の大阪モノレール延伸、2031年開業予定のなにわ筋線、2046年全線開業予定の北陸新幹線など、交通利便性を高める整備計画が一気に動き出しています。
その理由として、まず挙げられるのが長年放置されていた人工島の夢洲(ゆめしま)の開発です。2025年の大阪万博に続き、その跡地には現在積極的に誘致をしている統合型リゾートの開発を計画しています。実現した場合、近畿圏への経済波及効果が年間7,600億円、そして雇用創出効果が年間8.8万人と試算されています。
もう一つ、注目したい進行中のプロジェクトとして「うめきた2期」工事の開始です。こちらでも新駅誕生と、路線の延伸も行われます。
都市部は「路線社会」のため、新しい駅や路線が増えると、そこに人が集まり、賃貸需要が高まります。過去に都市部において、新路線や新駅が出来て地価が下がった事例はありません。都市として既に形成されているにも関わらず、まだまだ伸びしろに期待が出来る街、それが「大阪」です。
開通遅れによる影響
リニア開業の遅れにより不動産市場に影響はあるのでしょうか。
答えは「NO」です。
先にも述べた通り、三大都市圏ではリニア開業以外のところでも新駅新路線の開発、街をあげての再開発が着々と進んでいます。再開発が進むことで地価は上昇傾向にありますが、これがリニア開業の遅れにより暴落もしくは高騰することはありません。
これは賃貸市場に関しても同じことが言えます。
三大都市圏を中心に都市部はすでに都市として形成されており、上場企業を中心に多くの企業が集まっています。雇用が安定していて就業人口が多い都市ほど、賃貸の需要があり家賃も高水準で安定しているため、「リニア開業が延期になったので来月から家賃を下げます。」ということはありえないと言ってよいでしょう。
そのため、すでに不動産投資を始めている人もご安心ください。
まとめ
今回はリニア中央新幹線の開業の遅れが不動産投資へマイナスに影響するのではないか、というテーマにスポットを当ててみました。
結果、不動産投資へのマイナスになる影響は、0に近いと言ってよいでしょう。
しかし、リニア中央新幹線の開業で、三大都市圏はさらに活性化していくことは間違いないのではないでしょうか。人口減少が問題視されている日本ですが、三大都市圏の人口は近年増加傾向にあり、全国の人口の約半数は三大都市圏に集まっています。
10年後、20年後、人々がどのような生活を望み、どこで働き、どこで生きて行くのか。未来への希望や夢が集まる場所に人は集まり続けます。
今後も発展していく立地を見越して、少しでも早く不動産投資を始めることをお勧めいたします。