不動産投資は、信用力が勝負!融資を受ける際の注意ポイントは?
不動産投資をする際、ほとんどの方が金融機関から融資を受けることになりますが、頭金の金額や金利、借入期間など、どのような条件で受けることができるかは、投資する物件やその方の資金力によって変わってきます。そこで、今回は、不動産投資で融資を受ける際の注意ポイントについてお話します。
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会社員ほど、融資を受けやすいって本当?
金融機関から融資を受けやすいのは、比較的収入が安定している「会社員」です。
金融機関もお金を貸すのであれば、収入が安定した返済能力の高い人に貸したいでしょう。
会社員の他には、公務員、師士業なども融資を受けやすい職業といわれています。
また、一般的に不動産投資をする際に金融機関から融資をしてもらいやすい収入の条件として、年収500万円以上がひとつの目安となるかもしれません。
自営業やフリーランスは不動産投資ができない?
では、自営業者やフリーランスの方は、融資が受けられないのでしょうか?結論から言うと、ケースバイケースといえます。
創業して間もない自営業者が融資を受けるのは難しい場合もあるかもしれませんが、長年堅実な経営を続けて十分に利益を出しているのであれば可能性はあるでしょう。
とはいえ、安定した業績の会社に勤めている会社員に比べて、審査が通るまでのハードルが高い場合が多いかもしれません。
かくいう私も小さな企業の役員。事業も浮き沈みがあり、信用度としては、大企業の会社員の人たちに比べて決して高いとはいえません。
私自身、初めて銀行から投資物件の融資を受ける時に、世の中信用が大切なのだと痛感しました。
最初に投資した物件の融資条件は、物件の築年数が経過していたというのもありますが、頭金は物件価格の3割、金利4%、融資期間20年というものでした。
融資の事前審査も私の場合、結果がでるまで1週間程度かかりましたが、私のお客様で高収入かつ大企業に勤めている方は2日〜3日で融資可能という結果がでていました。
無職の場合はどうなる?
無職の場合には、当然、金融機関は融資をしてくれません。
無職の人が不動産投資を始めるには、金融機関がお金を貸してもらえるように対応をとるしかありません。
ただし、無職でも数億円規模の莫大な資産や不動産を持っている場合などには、融資を受けられる可能性は高い場合もあります。
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勤続年数も融資の評価対象
会社員ということに加えて勤続年数が3年以上あれば、融資のハードルはさらに低くなります。
3年にもわたりコツコツと同じ会社で働けるのであれば長期的なローンを組んでもきちんと返済できるだろうと判断される場合が多いです。
転職を繰り返しているようだと、「現在勤務をしている会社も辞めて、また転職するのではないか。安定して収入が得られないのではないか」と思われてしまいます。
もし、転職を考えているのであれば、転職する前に投資をする方が融資を受けやすいでしょう。
ただし、金融機関からより良い融資を受けられるようになる転職もあります。
例えば、同業種へのキャリアアップのための転職で、年収がアップしていること、知名度の高い企業であることなどの条件が揃えば、勤続年数が少なくても融資を受けられる可能性があります。
反対に年収がアップしたり、知名度の高い企業に転職できたりしても、異業種への転職の場合は、勤続年数が3年以上求められることが多いかもしれません。
というのも、異業種への転職の場合は、「畑の違う業種で適用して働き続けられるのかどうか」というところがチェックするポイントとなるからです。
転職する場合には、どういう属性であれば、金融機関から評価をされるのかを戦略的に考えることが大切です。
自己資金はどれくらい必要?
不動産投資をする際、自己資金についても悩む人が多いと思います。
不動産投資をする際は、レバレッジ効果を活用するためにも頭金はできるだけ入れずに融資を受けるのが理想です。
とはいえ、どの程度融資を受けられるかは、本人の信用度、物件の市場価値、経済情勢による金融機関の融資の姿勢などによってかわってきます。
では、どういう条件であれば頭金を少なくすることができるのでしょうか。
金融機関が融資の審査をするにあたり重要視するのは、「物件の市場価値」と「本人の信用度」です。
万が一、ローンを借りた人が返済できなくなってしまった場合、金融機関は担保不動産を競売などで処分して資金を回収します。
物件の担保評価が高いほど、金融機関は多くの資金を回収できる可能性が高いので、多くの融資を受けられる可能性があります。
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物件の担保評価
では、物件の担保評価はどのように行われるのでしょうか?
金融機関が物件の担保評価を行う際には、通常、土地・建物それぞれの担保価値を調べて、その価値をもとに融資額を決める「積算評価法」が使用されます。
土地の評価は、「路線価」(市街地的に形態を形成する地域の路線に面する宅地の1㎡当たりの評価額のこと)に面積を掛けることにより算出されます。
建物の評価額は、(再調達原価×建物延床面積)×【残存年数×法廷耐用年数】(建物の構造ごとの新築価格に対して、経年劣化分を割り引いて算出)で計算します。
構造が丈夫で面積が広く、築浅であるほど評価額は高くなる場合が多いです。
この合計の金額が物件の販売価格に対して占める割合が高ければ高いほど、金融機関の評価は高くなります。
収益還元法
ただし、この積算評価だけで融資の金額が決まるかというと、そうではなく、その物件から家賃収入がどれだけとれるか、つまり物件の収益力から評価する「収益還元法」も加味されます。
実はどちらの評価方法を重視するかは金融機関によって違います。
自分が融資を受けようと思っている金融機関はどちらを重視しているのか事前にリサーチしておくとよいでしょう。
「物件の担保評価」と「本人の信用度」で判断される
とはいえ、金融機関は担保の範囲内の金額しか貸し出さないかというとそうとっは言い切れない場合もあります。
例えば、5,000万円の物件の担保評価が3,500万円だとします。
この物件を限りなくフルローンで借りたいと思った場合、残りの1,500万円は、本人の信用度により融資の審査を行うことになります。
本人の信用度は前述した通り、勤務先、勤務年数、年収、資産状況などによって異なります。
当然、本人の信用度が高いほど多くの融資を受ける事ができます。
私のお客様で日本橋駅から近くの築浅ワンルームマンションに投資した方がいらっしゃいましたが、10年以上有名企業にお勤めだったので、頭金を10万円入れただけでほぼフルローンで投資できていました。
どれくらいの金額を融資してもらえるかは、物件の担保評価と本人の信用度とを合わせて総合的に判断されます。
まとめ
融資の注意ポイントをお話してきましたが、基本的に不動産投資は、金融機関から融資を受けて投資をすることが前提です。
これから不動産投資を始めようと思っている方は、少しでも金融機関から融資をしてもらいやすいよう信用度を上げていくということが大切になります。
\お金のプロから学ぶ!/ファイナンシャルプランナー高山一恵先生の連載記事はこちら
筆者紹介
高山 一恵(たかやま かずえ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
株式会社Money&You 取締役
東京都出身。慶應義塾大学文学部卒業。
2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを創業。
10年間取締役を務めた後、現職へ。女性向けWEBメディア『FP Cafe®』や『Mocha』を運営。
また、『Money&You TV』や「マネラジ。」などでも情報を発信している。
全国での講演活動、執筆、マネー相談を通じて、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。
明るく、親しみやすい講演には定評がある。
主な著書・監修
「マンガでわかる! iDeCoのはじめ方 ライバルはイデ子! ? 」(きんざい)
「やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)
「税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法」(河出書房新社)
「人気FPが教える! 稼げるスマホ株投資」(スタンダーズ)
「人生100年時代! 月5000円から始める50代からのお金の増やし方」(宝島社)
「35歳までにはぜったい知っておきたい お金のきほん」(アスペクト)
「パートナーに左右されない自分軸足マネープラン」(日本法令)
「史上最強のFP3級テキスト」(ナツメ社) など
「ゼロから始めて2時間で一生困らないマネープランができる本」(彩図社)
「はじめてのNISA&iDeCo」(成美堂出版)
「マンガと図解 はじめての資産運用」(宝島社)最新刊
原稿・取材・出演
日本経済新聞、聖教新聞、シティリビング、プレジデント、ダイヤモンド、AERA、東洋経済、日経マネー、日経WOMAN、日経ビジネス、日経ヴェリタス、日経DUAL、週刊ポスト、女性自身、女性セブン、VERY、Oggi、FRaU、CHANTO、LEE、More、with、美ST、おともだち、Allabout、東証マネ部!、MONEY PLUS、ビジネスジャーナル、マネー現代、OTONA SALONE、フジテレビ、TBS、TBSラジオ、日経CNBC、大手小町(読売新聞)、Suits-Woman、NHKニュースウォッチ9など
講演
日経新聞、朝日新聞、シティリビング、中央労働金庫、楽天証券、イオン銀行、紀陽銀行、電通アイソバー、朝日ネット、@type、パレット共済、明治安田生命、ライフネット生命、ソニー生命、マネーフォワード、共立女子大、Schoo(スクー)、FP養成機関、高島屋ファイナンシャル・パートナーズ、マネックス証券、電気連合組合、レンドリース・ジャパンなど