【人生100年時代】今後ますます大切になる「健康寿命」と「資産寿命」について
2022年も早いもので春の訪れを感じる時期となりました。
世界情勢ではロシアによるウクライナ侵攻が世界共通の喫緊の大きな問題点となっています。(2022年3月現在)幼い子供も含めこれだけ多くの人命が失われている現状においては、日本の役回りもとても大切かと考えます。また経済面においては、多くの食材を始めロシア・ウクライナからの輸入材が高騰してきており、日本のインフレにも影響が出始めています。
今回のコラムでは人生100年時代と言われる昨今において、自分自身の健康面や財産の保全・資産運用についてどのような視点で取り組んだらよいか、という事を考察してみたいと思います。
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日本の平均寿命は世界一
日本では着実に長寿社会が進行しています。
筆者が幼少の頃は70歳から80歳と言うととても高齢という印象を受けましたが、現在の日本では100歳を超える方も年々増えており、2021年9月15日現在で100歳以上の方は、全国でなんと約8万6,500人となっています。1970年には100歳以上の方は全国でわずか310人しかいらっしゃいませんでした。100歳以上の方は年々増加を続け51年連続で最多を更新しています。ちなみに100歳以上の約88%が女性です。(※1)
厚生労働省が発表した完全生命表(※2)によると2020年の平均寿命は男性で81.56歳、女性で87.71歳となり、過去最長となっています。
1891~1898年(明治24~31年)にかけての平均寿命は男性で42.8歳、女性で44.3歳でした。戦後の昭和22年でも男性で50.06歳、女性で53.96歳でしたので、平均寿命がいかに長くなっているかが分かります。この要因としては戦後における食料事情の改善、国を挙げての健康保険制度の充実・強化、日本人全体の健康志向の高まったことなどが考えられます。また世界でも日本は長寿の国であり、WHOの資料によると世界一寿命の長い国は日本で、2位スイス、3位韓国と続きます。(2022年現在)
日本の健康寿命も世界一
昔は「平均寿命」あるいは「平均余命(※3)」という言葉が世の中に浸透していましたが、昨今では「健康寿命」という言葉で寿命を表現することが一般的になっています。
つまり、いくら平均寿命が長くなっても、寝たきりなどの方が増えると、医療現場や健康保険制度にも影響が出てくると考えられます。
長生きと共に健康で元気な老後の時間のウエイトを高めていきましょう、という一種の啓蒙の要素も入っているように筆者は感じています。
筆者としては、この背景には日本の少子高齢化の先にある年金問題や健康保険問題・医療問題が見え隠れすると感じています。
厚生労働省が発表した資料によると、日本人の健康寿命は2019年には男性で72.68歳、女性で75.38歳とこちらも過去最長となっています。(※4)
また日本人の健康寿命も平均寿命と同様に世界で一位となっており、2位シンガポール、3位韓国と続きます。(※5)
日本においては健康寿命も長くなっています。
つまり、健康に活動できる人生の時間がかなり長くなっていると推測できます。
筆者の周囲を見渡すと、年を重ねてもなお元気な方には、いくつかの共通点があると感じています。
- ①暴飲暴食をしない
- ②適度な運動を持続的にしている
- ③日常的なストレスと上手に向き合っている
- ④禁煙している方が多い
- ⑤趣味も含めて楽しい時間を過ごしている
- ⑥老後にあまり経済的な苦労をしていない
このことから、筆者の考察として、心身ともにストレスが少なく、経済的な不安も少ない方は、健康寿命が長い場合が多いと感じています。
長寿社会に対応した資産運用とは
人生の時間が長くなっていく中で、老後の経済的な生活設計が極めて重要となってきています。
経済的な不安を軽減するためにも、資産運用に関する考え方も「長期に軸足を置いた投資スタンス」が求められてくる時代であると考えます。
つまり、少なくとも投資をする本人よりも「長い資産寿命」を有する対象に投資をしないと老後の経済生活も成り立たなくなってしまう可能性があるかもしれません。
例えば投資や資産運用に全く興味関心を持たず、ひたすら貯金だけをしていくと考えてみましょう。(実は日本ではこのパターンが一番多いです。(※6))
老後に備えて毎月5万円ずつの貯金を行った場合、年間で60万円が貯まります。50年後には3,000万円が貯まります。
しかし、年収500万円前後の会社員や公務員の皆さんにとって、毎月5万円ずつ貯金をするということは、難しい場合が多いかもしれません。
さらに、銀行に普通預金でお金を預けた場合、金利の年率は0.001%です。(2022年4月現在)
昨今の超低金利時代において利息はあまり期待できないため、貯金した金額が増えることはほとんどない、と考えるほうがよいでしょう。
また、貯金の利息よりもインフレ率が高まった場合、その3,000万円の価値は落ちていくことになりかねません。
つまり長寿社会に対応したインフレに強い資産運用を継続していく事が、極めて大切となると考えられます。
資産寿命の長いマンション投資
投資や資産運用と言っても、様々なバリエーションがあり、その選択はとても悩ましいものがあるかと思います。
例えば、近年ではビットコインを始めとする暗号資産(仮想通貨)がありますが、言葉は知っていても、特徴や始め方、運用方法などは分からないという方もいるかと思います。
また、新しい投資商品については、その投資商品の収益性が検証されていないまま世の中に出現している例もあるため、リスクも高くなりやすいことから、長期の投資として運用を考えるのはおすすめできません。
このような背景を考えた場合、筆者の考えとして、長期・安定的に資産を形成していくためには、長い歴史と資産寿命を持つ不動産投資がおすすめの選択肢であり、中でもマンション投資がおすすめであると考えます。
マンションは鉄筋コンクリート造が一般的ですので、耐用年数は長く、耐火・耐震性も比較的高い建物です。さらに竣工時には「長期修繕計画」が策定されている場合がほとんどで、長期的、且つ定期的に建物管理・修繕工事が実施されるので将来的にも資産価値が保ちやすいです。
現代に建設される新築のマンションは性能やメンテナンス性・さらに耐震性も向上しており、より長期的な投資に比較的向いていると考えられます。
長期的に空室になりづらいマンションの条件は
表向きが立派な建物を購入しても、入居者が途切れてしまい、家賃収入を得られなければ、経済面における資産寿命は短くなってしまいます。
筆者が考える長期的に資産価値が落ちづらい建物の条件としては、建物という「ハード」の面だけでなく「長期に渡って入居率が高く維持できる」、さらに物価の上昇に連動するように「月額賃料の上昇が期待できる」ような立地と建物を選ぶ事が大切だと考えます。
これにはマンションの「立地」が極めて重要となってきます。資産寿命が長い物件の立地条件としては、交通利便性・生活利便性が良好で、さらに沿線やターミナル駅などの将来性が高いエリアである事などが挙げられます。就業人口の高いエリアにアクセスしやすいエリアやブランド沿線であることも比較的継続して人気が高いエリアです。こうしたエリアは住宅需要も比較的高くなりやすいので、マンション経営にも適したエリアと考えられます。
さらに新線・延伸計画や再開発が継続して行われるエリアは、筆者としてはまさに理想形と考えています。
将来資産価値を上げる方法も
マンションの共用部分は構造や長期の修繕計画等でカ支出をカバーできますが、室内など専有部分の設備が将来劣化した場合に、リフォームをする事で再び資産価値を上昇させ、資産寿命を延ばす事ができる可能性があります。
例えば、室内のスペック等におけるアプリシエーョン(設備等への再投資)の具体的なシミュレーションで言うと下記のような想定が考えられます。
投資用マンションのアプリシエーション
- 3,000万円のワンルームマンションの家賃が10万円で、表面利回り4%のマンションが、10年経過し家賃が2万円(20%)下がったとすると、マンションの資産価値は2,400万円(8万円×12カ月÷0.04)に低下します。 これを150万円かけてリフォームやミストサウナの新設などのリフォームを実施する事により、家賃が9万円に上昇したとします。するとマンションの資産価値は2,700万円(9万円×12カ月÷0.04)と300万円上昇する場合もあります。 (※経費等は計算をわかりやすくするために含んでおりません。)
まとめ
筆者の見解として、日本の不動産投資の歴史は、江戸時代の「長屋」や昭和の時代の「下宿」なども含めて、とても長い歴史を経て現代に引き継がれている、まさに長い時間をかけて醸成された極めて完成度の高い「資産運用」と言えるのではないでしょうか。
つまり不動産投資はそれだけ昔から「比較的安定している投資」と考えられ、資産寿命も長くなりやすいと筆者は考えています。
健康寿命の意識がますます高まる時代において、自分自身の資産に対する寿命という意識も極めて大切となります。
先行きが不透明な時代だからこそ、長い歴史の中で醸成され進化してきた比較的安定している投資商品に軸を置くことを考慮し、投資のバリエーションを増やしていく事も大切かと考えます。
(※1)厚生労働省 プレスリリース 1男女別百歳以上高齢者数の年次推移
https://www.mhlw.go.jp/content/12304250/000672203.pdf
(※2)厚生労働省「第23回生命表(完全生命表)の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/23th/dl/23th-02.pdf
(※3)平均余命: 0歳における平均余命が平均寿命となります。
(※4)厚生労働省 健康寿命の令和元年 について
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000872952.pdf
(※5)WHO 平均寿命
https://www.who.int/data/gho/data/indicators/indicator-details/GHO/life-expectancy-at-birth-(years)
(※6)金融庁 平成28年度 金融レポート
https://www.fsa.go.jp/news/29/Report2017.pdf
著者紹介
野中 清志(のなか きよし)
株式会社オフィス野中 代表取締役 住宅コンサルタント
マンションデベロッパーを経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。
首都圏・関西および全国でマンション購入に関する講演多数。内容は居住用から資産運用向けセミナーなど、年間100本近く講演。
最近の主な著書・連載等
「売れる」「貸せる」マンション購入法 週刊住宅新聞社
「ワンルームマンション投資法」週刊住宅新聞社
「お金」見直し応援隊 日経BPセーフティジャパン(Web) 他多数
テレビ出演等
TOKYO MX TV他「ビジネス最前線 不動産による資産活用の今 」(2016年3月)
BS12〔TwellV(トゥウェルビ)〕「マンション投資 成功へのセオリー」(2014年12月)
「海外投資家も注目する東京の不動産」(2013年11月)
他ACT ON TV 等多数